韓国次期大統領の有力候補者イ・ジェミョンのコンセプト「木鷄之徳」って何?
イ・ジェミョンのリーダーシップ変革
イ・ジェミョン候補は自身が「辺境の将帥」と称し、中央政治と角を立てながら成長してきた経緯から、攻撃的で独善的なイメージが付きまとってきた。この「非好感」の克服が課題とされていた。
イ候補の選挙戦のコンセプトは、単に柔和なイメージへの転換ではなく、「強力なカリスマを維持しつつも平穏さを持たせ、その権威をさらに強化する」方針だという。表面的には落ち着いた余裕を見せながらも、必要な時には内的な強さを発揮するリーダー像を追求している。
マーケターA氏は「木鶏之徳」と「泰然自若」という四字熟語をイ候補の核心コンセプトとして提案した理由について、「イ候補は強力なカリスマを持っている人物だ。これを肯定的に活用しようと考えた。あえて気を張らなくても、人々が彼の存在自体を意識できないほど平穏に過ごしているが、その権威がはるかに強くなる方式だ。勢いのない勢いに相手が自滅することを意味する」と説明している。
個人的変化の反映
民主党内では、このコンセプト設定が単なるイメージ戦略を超えて、イ候補自身の内面的な変化を反映しているという見方もある。政治的危機(公職選挙法違反での裁判)や身の危険(カッターナイフでの襲撃事件)、そして非常戒厳状態までを経験したイ候補が、「死の峠を何度も越え、ある瞬間、世の中のことに超然となった」という評価がある。
これらの経験を通じて、イ候補は古典に描かれる「木鶏」のような精神状態──外部の刺激に動じず、内面の強さと平静さを保ち続ける境地──を目指しているとされる。それは単なる政治戦略を超えた、深い哲学的変容を示唆している。
マーケターのA氏自身も、この取り組みは単なる選挙戦略を超えた価値観の共有だと語る。「進歩は継続して新しさを追求し変化を追求しなければならないが、それが当然のことになった瞬間、新しさや変化とは距離が遠くなる」という彼の考えは、イ候補の政治姿勢と共鳴している可能性があるという。
イ候補の選挙戦略は、マーケティング手法の導入と東洋哲学の融合という点で、韓国政治に新たなアプローチを提示している。今後、これらが選挙戦だけでなく、イ候補が選挙を勝ち抜いた際に実際の政策やリーダーシップにどう反映されるかも含めて注目されるところだ。