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荒川河畔の「原住民」(28)

「スマホはある」「四季を体験したい」新人ホームレスが最も不便に思うことは?

2025年4月26日(土)18時45分
文・写真:趙海成

もし襲撃されたら? ...他に選択肢はない

中高生など若者によるホームレス襲撃事件がニュースになることもある。新人ホームレスである宇海くんは、どう思っているのだろう。

「ホームレスへの襲撃や嫌がらせについて心配していますか。もし遭遇したらどう対応するつもりですか」

「正直言って、心配していますね。半年前、荒川河川敷に住んでいる若いホームレスが襲撃されたそうです。もし僕が本当にそんな目に遭ったら、抵抗せず逃げて助けを求めるくらいしか、他に選択肢はないと思います」

最後に聞いた。

「宇海くんは将来どういう方向に進みたいのですか?」

彼はこう答えた。

「少なくとも1年間、ホームレス生活で四季を体験してみて、あとはどうなるか、その時に考えればいいと思っています。私が最も尊敬し、将来やりたいと思う職業は第一次産業、すなわち農業、漁業、林業などです。このどれからのチャンスが来たら、その方向に進みたいと考えています」


(編集協力:中川弘子)


[筆者]
趙海成(チャオ・ハイチェン)
1982年に北京対外貿易学院(現在の対外経済貿易大学)日本語学科を卒業。1985年に来日し、日本大学芸術学部でテレビ理論を専攻。1988年には日本初の在日中国人向け中国語新聞「留学生新聞」の創刊に携わり、初代編集長を10年間務めた。現在はフリーのライター/カメラマンとして活躍している。著書に『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』(CCCメディアハウス)、『私たちはこうしてゼロから挑戦した──在日中国人14人の成功物語』(アルファベータブックス)などがある。

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