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「現代の奴隷」が20万人以上も...東南アジア特殊詐欺、虐待の日々から逃げ出す「唯一の脱出法」とは?

VICTIMS AND PERPETRATORS

2025年4月25日(金)17時09分
イバン・フランチェスキーニ(豪メルボルン大学講師)、リン・リー(ベネチア・カフォスカリ大学博士号候補生)、マーク・ボー(リサーチャー、東南アジア在住)

東南アジアの特殊詐欺拠点に張り巡らされた鉄条網

鉄条網が張り巡らされ自由に出入りできない IVAN FRANCESCHINI

詐欺集団は目の悪い彼女が使いものにならないと気付くと、彼女の家族をゆすって身代金を取ろうとした。だが彼女が孤児で、身代金を払う者がいないと分かると、プノンペンの街中に置き去りにした。

彼女は人身売買の被害者のためのシェルターに何とか入れたが、目が悪いため警察の取り調べで拠点がある場所やその状況を説明できず、被害者ではなく不法入国者と見なされて逮捕された。


24年に私たちが知ったケースでは、中国南部の都市・南寧のレストランで働けると言われて、14歳の中国人少女2人がカンボジアに連れ去られた。失踪に気付いた親が警察に通報し、彼女たちは無事保護され、拉致した一味は逮捕された。

彼女たちには人身売買の被害者であるという証明書が出されたが、カンボジアの入管当局はそれを認めず、1人につき3500ドル相当の罰金を要求した。

詐欺集団のリクルートの巧妙さは盛んに警告されているから、知らずに詐欺に加担させられた人も同情に値しないと言う人もいる。また特殊詐欺の実行犯はパソコンを使用し外国人も標的にするため、従来型の現代の奴隷よりも教育程度が高い比較的恵まれた層だという誤解もある。

だが中国国籍者(東南アジアの拠点にいる実行犯の過半数を占める)を対象にした私たちの調査で、彼らの大半は貧しい家庭で育った高卒の若者であることが分かった。外国語を話せない者やそれまで外国旅行をしたことがない者も多かった。

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