トランプも恐れる「厄介な事態」に?...イスラエル・トルコが虎視眈々と狙う「新生シリア」で何が起きるのか
ALLIES COLLIDE: WHAT NEXT?
イスラエルがシリアで新たな同盟関係を築こうとする試みは、トルコの目にはネタニヤフが「急進的に」映ると、トルコのハサン・カリョンジュ大学准教授で政治・経済・社会研究財団(SETA)上級研究員のムラト・アスランは言う。
「アサド政権崩壊は、23年10月7日のハマスによる襲撃の心理的影響とネタニヤフの保守的な政策とともに、イスラエルの立場をある程度変えた。
シリアに生じた空白を、シリア国軍の軍事資産を破壊して東に領土を拡大し、ドルーズ派と(PKKの分派でシリアのクルド系政治団体である)民主連合党(PYD)に働きかけ、イスラエルに忠実な代理勢力の構築を後押ししようとしている」
こうした戦略に「トルコは限界まで忍耐を示すだろう」と、アスランは続ける。ただし、「イスラエルがエスカレートすれば、シリアと協調する動きが段階的に発展する可能性がある」とも警告する。
「イスラエルの安全保障は他者のアイデンティティーを脅威に仕立てることに依存している。それがトルコの最終的な評価だ。イスラエルがさらにエスカレートすれば、終わりのない暴力の連鎖になるだろう」
イスラエルのヤコブ・ナゲル元国家安全保障評議会議長が率いる政府委員会は今年1月の報告書で、エルドアンが「オスマン帝国の王冠を過去の栄光の下に取り戻すというトルコの夢」を実現しようとした場合、トルコとイスラエルの交戦が現実になるという「直接的な危険」が迫るだろうと警告した。