韓国次期大統領の最右翼「李在明の正体」民主主義の破壊者?それとも庶民の救済者?
Lee Jae-myung’s Strategic Bet
最も目立ったのは、尹が政権の影響下にある強力な司法機関である最高検察庁を活用し、李をはじめとする野党政治家を積極的に捜査したことで、野党議員からは「検察独裁」と非難されている。
さらに、尹は22年5月の就任以来21回も拒否権を行使しており、歴代大統領に比べて際立って多い。こうした強権的手法によって、政治的な敵意がますます増大した。
韓国政界の混乱の背景には憲法上の制約もある。大統領の任期は1期5年で、再選は認められていない。任期途中の議会選で野党が勝てば、いわゆる「ねじれ国会」となり、大統領の求心力は失われる。
この構造は、しばしば「ゼロサム的」な権力闘争を招く。野党は大統領を妨害して任期切れを待とうとするし、大統領はひたすら強引に自分の政策を進めようと画策する。
そして昨年12月3日、尹は野党議員の「反国家的」行為などを理由に「非常戒厳」を宣布。この前代未聞の動きに対し、国会は同月14日、尹が大統領の職権を乱用し、民主主義の規範を損ねたとして弾劾案を可決。尹は韓国史上初めて、汚職以外で弾劾訴追を受けた大統領となった。
李と共に民主党は、政権復帰への布石を打ってきた。だが国民感情が揺れ動いている今、勝利が保証されていないことも痛感している。多くの有権者が尹の指導力に不満を抱いていた一方で、李への否定的な感情も根強い。