最新記事
パナマ運河

トランプの脅しに屈した「香港大富豪」に中国が激怒...「国益のために犠牲を払うのは当然」

2025年3月24日(月)12時25分
チョウンシー・ロン
CKハチソンが権益の売却を決めたパナマ運河のバルボア港

CKハチソンが権益の売却を決めたパナマ運河のバルボア港(3月4日) ENEA LEBRUNーREUTERS

<パナマ運河問題で怒り心頭...。第2次トランプ政権がもたらす地政学的変化の中で、立場を悪化させる中国>

香港の大富豪・李嘉誠(レイ・カーセン)は、最新の地政学的対立の波をまともにかぶっている。原因はパナマの港湾関連資産だ。

パナマ運河を中国の支配下から取り戻すというトランプ米大統領の脅しを受け、李はこの戦略的要衝の港湾事業を約230億ドルで米投資会社に売却することにした。李はこれまで地政学的リスクを巧みに回避してきたが、今回は違った。


中国国務院香港マカオ事務弁公室は3月中旬、中国政府の影響下にある香港紙・大公報の2つの記事をホームページに転載した。

どちらも李と李の所有する長江和記実業(CKハチソン・ホールディングス)はアメリカにひざまずき、中国の国益をあからさまに無視したと非難する内容だ。2日後にも再び大公報への支持を打ち出し、李は中国を裏切ったと非難した。

香港の李家超(ジョン・リー)行政長官も事態を注視。中国当局は李嘉誠への調査を開始したと報じられた。

中国当局はこれまでも、ビジネス上の意思決定でナショナリズムを何より重視するよう要求してきた。今回もトランプ政権との外交交渉に力を入れる代わりに、米中の間で地政学的課題に直面する企業を攻撃することにした。

中国の当局者は、中国発の企業が中国の国益のために犠牲を払うのは当然だと考えている。当局の領有権主張に沿った地図の使用や、現体制に都合のいい(だが自社の利益に反する)決定の強制など、中国政府は政治的忠誠心の証明をたびたび企業に要求する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米ブラジル首脳が電話会談、貿易や犯罪組織対策など協

ビジネス

NY外為市場=ドル対円で上昇、次期FRB議長人事観

ビジネス

再送-〔アングル〕日銀「地ならし」で国債市場不安定

ビジネス

再送-〔マクロスコープ〕日銀利上げ判断、高市首相の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 3
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止まらない
  • 4
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 5
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 6
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯…
  • 7
    もう無茶苦茶...トランプ政権下で行われた「シャーロ…
  • 8
    22歳女教師、13歳の生徒に「わいせつコンテンツ」送…
  • 9
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 10
    【香港高層ビル火災】脱出は至難の技、避難経路を階…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中