最新記事
MLB

カブス今永が前日の心境を明かす「かなりプレッシャーを感じているし、逃げ出したいような気持ちもある」

2025年3月17日(月)19時45分
小暮聡子(本誌記者)
今永昇太

3月17日、東京ドームで記者会見に臨んだカブスの今永昇太 写真:主催者提供

<明日の東京ドームでの開幕戦を前に、先発投手のカブス今永昇太が明かした本音。これまでのキャリアの中で明日の登板の位置付けは「1番」とも>

明日3月18日、東京ドームで行われるドジャースとの開幕戦に先発するカブスの今永昇太投手。先頭打者が見込まれるドジャース大谷翔平投手との対決や、先発投手予定の山本由伸投手との投げ合いも注目を集め、その肩にのしかかる重圧は計り知れない。今永本人は、そのプレッシャーをどう感じているのだろうか。

今永は前日17日午後の公式会見で、心境を率直に口にした。

「チームにもメンタルのコーチがいますけど、そのメンタルのコーチにもしょっちゅう相談するほど、自分は自分のことをメンタルが強い選手だとは思ってない。かなりプレッシャーも感じていますし、逃げ出したいような気持ちもあります」

そう明かした上で、英語圏記者からの「これまでのキャリアで、今回のような大舞台でのプレッシャーに対処するやり方をどうやって学んできたのか」という問いに対し、カブスのエース投手ジャスティン・スティールから学んだ「乗り越え方」を教えてくれた。

「プレッシャーについては、一度スティールに相談したことがあるんですが、スティールに聞いたら、『心配するな。100年後、誰も覚えているやつはいない』と。そうスティールが言ってくれたので。でも100年後にもし僕が生きていたらこれを覚えているなと......」というエピソードを明かし、会見場の笑いを誘った。

先週14日の会見で、アメリカに渡ってから変わった部分を問われ、「こんなにユーモアがある人間だったのかというのは一番、自覚している」と答えていた今永。17日の会見でも、日本メディアからの質問に対し、この1年でメンタル面での変化をこう語っていたのが印象的だった。

「以前までは、誰かが期待する自分にならなければならないと思っていた自分がいたんですけれど、(今は)そうではなくて、自分が人生を歩んでいる中に野球がある、と。僕はそう思っているので、人生を楽しむべきなんじゃないかなと、自分がやりたいことをやるのが一番なんじゃないかなって、アメリカに来て感じています」

自分の人生の中に、野球がある。ではその中で、今回の開幕戦での登板はどれくらいのビッグモーメントになるのだろうか。2023年のWBC決勝での登板や、メジャーでのデビュー戦などさまざまな舞台を経験してきた今永にとって、自身のキャリアの中で明日はどれくらいの位置づけなのか――。

「一番になるんじゃないかなと思いますし、ユニフォームを脱いだときに、自分が野球を辞める瞬間に、この東京ドームで先発したことが真っ先に頭に思い浮かぶような、そういう思い出になれば幸せだなと思います」

いよいよ開幕。試合が終わったときに、また今後の人生の中で、明日の投球は今永の記憶にどう刻まれるのだろうか。

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、EUにメタン排出法の適用除外を要求=政府文書

ビジネス

ウォン安と不動産価格上昇、過剰流動性だけが背景では

ビジネス

12月の豪消費者信頼感指数、悲観論が再び優勢 物価

ビジネス

ベトナムEVビンファスト、対インドネシア投資拡大へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 8
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中