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停戦協議

プーチンはトランプに「悪役」と思われたくない...停戦に向けた「脅し」にロシアはどう答える?

Ceasefire Hopes

2025年3月17日(月)18時38分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)

ゼレンスキー大統領

ゼレンスキーには焦燥も(3月13日、キーウ) ANDREW KRAVCHENKOーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

ロシアが譲れない一線

プーチンは面白くないはずだ。停戦案について、「根本原因を除去するものでなければならない」と主張している。

プーチンの言う根本原因の除去とは、ゼレンスキー政権の打倒、ウクライナの「非軍事化」と「中立化」(つまり、武装解除とNATOに加盟しないという誓約)、そして東ヨーロッパの大部分から米軍が撤退する(つまり、西側の冷戦の勝利を覆す)ことだ。


トランプはここ数週間、プーチンの主張に共感を示し、戦争を始めたのはウクライナで、和平の障害はウクライナの側にあると批判していた。

少なくとも今回の高官協議の成果は、トランプのそうした態度に疑問を呈した。マルコ・ルビオ米国務長官は共同声明発表後の記者会見で、「ボールはコートのロシア側にある」、ロシアが停戦案を拒否すれば「残念ながら、何が和平の障害になっているのかが分かることになる」と語った。

プーチンが拒否すれば、さすがのトランプも事態を理解するだろう。自分が公に称賛してきたプーチンが、戦争終結という注目度の高い自分の計画をつぶそうとしていると、反感さえ抱くかもしれない。

トランプは3月12日、ロシアが停戦案を拒否したら、アメリカは主に経済面で、ロシアに「壊滅的な」打撃を与えることができると述べた。

制裁について詳しい話はなかった。アメリカが既にロシアに多くの制裁を科し、また関税が意味をなさないほど両国間の貿易が少ないことを思えば、トランプがどんな制裁を考えているかは不透明だ。

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