最新記事
アフガニスタン

なぜウイグル人はアフガンでISと共闘するのか?...中国の「影響力」とアメリカの「無影響」

2025年3月10日(月)16時40分
ベスミッラー・タバン、デービッド・オブライエン

しかしアフガン内部の情報筋によれば、タリバン側には中国への不信感がある。

理由は、中国当局がタリバン政権の正式な承認や期待していた規模の財政援助に消極的なためだ。中国の関与は貿易と一帯一路構想の推進、そしてタリバンにETIM取り締まりの約束を守らせることに限られている。

一方、タリバンの仇敵である過激派組織「イスラム国」(IS)傘下の「ISホラサン州(IS-K)」は、ウイグル人武装勢力との連携強化に動いている。


21年10月には、アフガン北部の都市クンドゥズのモスクで自爆テロ事件が発生。約70人が死亡、140人以上が負傷した。IS-Kの犯行声明にあった実行犯の名前は、ウイグル系を示唆する「ムハンマド・アル・ウイグリ」だった。

25年1月にも、アフガン北東部タハル州で中国人が殺害された。IS-Kが犯行声明を出したが、アフガン国内の情報筋によると、実行犯はETIMのメンバーだ。両者の間で協定が結ばれ、ETIMがアフガン国内の中国人や中国の権益を攻撃した場合、犯行声明はIS-Kが出すことになったという。

タリバンと中国の関係強化を受け、中国での迫害を逃れてアフガンに避難した一般のウイグル人の間には懸念が広がっている。中国への強制送還を恐れる人々も少なくない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

国際金融当局、AIの監視強化へ

ビジネス

EXCLUSIVE-中国BYDの欧州第3工場、スペ

ビジネス

再送-ロシュとリリーのアルツハイマー病診断用血液検

ワールド

仮想通貨が一時、過去最大の暴落 再来に備えたオプシ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃をめぐる大論争に発展
  • 4
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 10
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中