最新記事
美食

台湾のソフトパワー「小籠包」の美味が世界を席巻する!?

Soup Dumplings as Soft Power

2025年3月7日(金)16時28分
リシ・アイエンガー(フォーリン・ポリシー誌記者)
台湾のソフトパワー「小籠包」の美味が世界を席巻する!?

鶏肉を使ったニューヨーク店の小籠包 THE NEW YORK TIMESーREDUX/AFLO

<日本を含む世界13カ国に170店以上を出店する小籠包が看板メニューの料理店「鼎泰豐(ディンタイフォン)」は、半導体と並んで台湾の経済文化外交を担う>

昨年のニューヨークのレストランシーンで最も注目された店の1つは、一見するとあまり目立たない。51番街とブロードウェイの角に位置する金色の建物には、英語と中国語で「鼎泰豐(ディンタイフォン)」という赤い文字が記されているだけだ。

しかし階段を下りて店内に入ると、約500人を収容する空間が広がる。多くの客席からはガラス越しにキッチンが見え、この店の有名な点心が作られる様子を眺めることができる。


世界的な料理帝国である鼎泰豐のなかでも、ニューヨーク店は最大規模の店舗。世界の食の首都と呼ばれる街で昨夏、これほどオープンが待たれた店はなかっただろう。開店が遅れたことに怒った客が1つ星のレビューを投稿するほどだった。

公式サイトにある創業の物語は、移民の親を持つ人なら誰もが聞いたことのあるものだ。1948年、21歳の楊秉彝(ヤン・ピンイー)は内戦下の中国山西省から、わずかな金を握り締めて台湾に渡った。彼は食用油を販売する会社の配達員として働き始めた。

10年後、その会社が閉鎖されると、楊は仕事で出会った妻の頼盆妹(ライ・ペンメイ)と共に自分たちの食用油店を開く。店は70年代初頭まで順調だったが、缶詰油の登場によって業績が急落。レストラン経営者の友人のアドバイスで、小籠包の販売を始めた。小籠包はすぐに人気となり、やがて油の販売をやめて料理に専念することになった。

半世紀後、その決断は大きな成功を収めた。いま鼎泰豐は、13カ国に170以上の店舗を展開している。昨年だけでもニューヨークのほかに、タイのプーケット、シンガポール、ドバイ、カリフォルニアのディズニーランドに新店をオープンした。

資産運用
「高市トレード」に「トランプ関税」......相場が荒れる今こそ投資家が目を向ける「世界通貨」とは
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米財務長官、中国にロシア・イラン原油購入削減求める

ビジネス

再送米国株式市場=反落、ダウ784ドル安 中東緊迫

ワールド

原油先物が大幅高、中東緊迫化で米WTI8%超上昇

ワールド

EXCLUSIVE-トランプ氏、ガソリン価格上昇を
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    「え、履いてない?」モルディブ行きの飛行機で撮影された、パイロットの「まさかの姿」にSNS爆笑
  • 3
    「ハリポタ俳優で終わりたくない」...ハリー・メリングが新作『ピリオン』で見せた「別人級」の変身
  • 4
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 5
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 6
    対イラン攻撃に巻き込まれ、湾岸諸国が存立危機
  • 7
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「旅客数が多い空港」ランキン…
  • 9
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 10
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中