最新記事
極右

得票率は前回比で倍増、約21%に...極右政党AfDとドイツ政治の危うい行方

No Longer on the Margins

2025年3月6日(木)10時27分
ポール・ホッケノス(ベルリン在住ジャーナリスト)
得票率は前回から倍増の約21%...極右政党AfDとドイツ政治の危うい行方

CDUのメルツ党首が移民政策でAfDに協力を求めたことに抗議する人々 YING TANGーNURPHOTOーREUTERS

<移民排斥を掲げる極右が総選挙で第2党に躍進。若者や労働者に人気があり、旧東ドイツ圏では最大勢力に。中道右派が同調すれば大きな罠にはまることに...>

ドイツ総選挙の結果が明らかになった2月23日、首都ベルリンにある極右政党ドイツのための選択肢(AfD)の本部では詰めかけた何百人もの支持者が歓喜の叫びを上げていた。

なにしろ今回の得票率は前回(2021年)から倍増の約21%。中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)には8ポイントほど及ばなかったが堂々の2位。共同党首を務めるアリス・ワイデルの顔がほころんだのも当然だ。

ネオナチとつながり、過激な移民排斥を掲げるAfDとの連立を、ドイツの既存政党はそろって拒絶している。

しかし、もう無視はできない。今や押しも押されもせぬ第2党で、労働者に人気があり、旧東ドイツ圏では最大勢力。国全体でも全16州のうち15の州議会に議席を持ち、アメリカの新政権とは相性がよく、欧州議会ではAfD議員を中心とする会派が誕生している。


それだけではない。今回の選挙戦を見れば分かるように、今のAfDは民衆に根強い人種差別的な感情を利用して国政の流れを大きく右に振り、既存政党を自分たちの路線に近づけようとしている。

移民問題を争点化するAfDの戦術に、最左派の左翼党を除く全政党が振り回された。そして難民認定や政治亡命の申請者の扱いや警察の対応、国境警備などを強化する主張を掲げることになった。

結果はどうか。AfDの主張になびいた政党はことごとく票を減らした。民主的な政党で前回よりも得票率を伸ばせたのは左翼党だけだ。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、EU産豚肉関税を引き下げ 1年半の調査期間経

ビジネス

英失業率、8─10月は5.1%へ上昇 賃金の伸び鈍

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、12月速報値は51.9 3カ月

ビジネス

仏総合PMI、12月速報50.1に低下 50に迫る
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 10
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中