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ウクライナ

ウクライナの永世中立国化が現実的かつ唯一の和平案だ

The Only Viable Peace for Ukraine

2025年2月17日(月)18時16分
バシル・フィリプチュク(国際政策研究センター上級顧問、元ウクライナ外交官)

世界中の多くの人々はトランプを嫌っているかもしれないが、大多数のウクライナ人にとってトランプは平和への希望だ。ウクライナのエリートたちは、ウクライナ国民が日々苦しみ、死んでいくなかで、空想にふけり、砂の上で線を引くことをやめなければならない。

必要なのは、専門家が作成した現実的な和解案であって、素人の「ほしいものリスト」ではない。新たな和解案は、私が2016年に提案したものより不利なものにならざるをえないだろう。新ロシア派とのウクライナ東部紛争を終わらせるために結んだが反故にされたミンスク合意や、2022年のロシア・ウクライナ和平合意案のころより、事態ははるかに厳しい。

だが、私たちが交渉のテーブルにつかないままアメリカとロシアが合意するような案や、現在のような消耗戦が国家としてのウクライナを完全に破壊してしまう事態に比べれば、まだましだ。

ロシアは最近の戦場での成功を確実に利用するだろうが、失敗からも学んでいる。そもそもこのような長期戦を戦う準備ができていなかったロシアは、ウクライナ侵攻で高い代償を支払った。

プーチンが2021年に発表した論文「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」に書いた、ロシアとウクライナには兄弟のような絆があるという空想的な物語を信じていたのだとしたら、彼は今、情報源や諜報機関が嘘をついていたことを理解したはずだ。ウクライナ人は抵抗の意思と能力をはっきりと示した。

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