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ウクライナ

ウクライナの永世中立国化が現実的かつ唯一の和平案だ

The Only Viable Peace for Ukraine

2025年2月17日(月)18時16分
バシル・フィリプチュク(国際政策研究センター上級顧問、元ウクライナ外交官)
ウクライナのゼレンスキー大統領

窮地に立たされたウクライナのゼレンスキー大統領 Photo by Jakub Porzycki/NurPhoto

<ロシアの本格侵攻から3年、戦えば戦うほどウクライナの交渉条件は不利になっている。国家が消滅してしまう前に、現実的な和平を目指すべきだ>

ちょうど8年前、ウクライナ政界のエリートたちは今と同じような問題に直面した。アメリカの新しい大統領に就任したドナルド・トランプが、ウクライナに関してロシアとの取引を望んだら、どうすべきなのか?

ウクライナの外交官を務めていた私は当時、いくつかのアイデアを提案した。アメリカとロシア相互に拘束力のある安全保障体制を築く方法、ウクライナが支配を失った地域を国連の国際的暫定統治領とする方法、あるいは2014年にロシアが一方的に併合したクリミアに自治権を与えるアプローチなどだ。

これらの提案は、当時のポロシェンコ政権で建設的に議論されるどころか、政府やメディアから非難された。ウクライナの保安当局は私を反逆罪で告発するとまで発表した。

現在、トランプがホワイトハウスに復帰し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は強気に戻り、ウクライナは廃墟と化している。日々領土を失い、国民は士気を失い、インフラは破壊され、内部分裂は歴史上かつてないほどひどくなっている。

ウクライナ人は今、過去の過ちから新たな結論を導き出し、今も残る80%の領土を守らなければならない。

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