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USAID消滅で中国・ロシアが勢力拡大へ...失われるアメリカの影響力

THE ATTACK ON USAID

2025年2月13日(木)12時20分
ジョン・ハルティワンガー、クリスティーナ・ルー(共にフォーリン・ポリシー誌記者)

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USAIDの行方が世界に深刻な影響を与える可能性も J. COUNTESS/GETTY IMAGES

混乱の始まりはトランプ氏が就任日に署名した大統領令だった。その内容は、全ての対外援助を見直すため、90日間凍結するというもの。これを受け、マルコ・ルビオ国務長官は緊急食料援助とエジプトとイスラエルへの軍事援助を除き、全ての援助を凍結するよう対外公館に通告した。

対外援助を中心的に担うUSAIDはすぐさま集中砲火を浴びた。2月1日には公式サイトにアクセスできなくなり、3日には本部の建物が閉鎖され、100人近いキャリア職員が休職扱いにされて、多数の職員が職場のコンピューターにアクセスできなくなった。


マスク氏率いる新組織・政府効率化省(DOGE)のチームがUSAID本部を訪れ調査を強行。機密文書などが保管されたエリアに踏み込もうとして警備員ともみ合いになる騒ぎも起きた。

USAIDは「アメリカの利益を推進するという創設時のミッションを忘れて迷走し、今や明らかに、その資金援助のかなりの部分がアメリカの核心的な国益にそぐわなくなっている」と、国務省は3日、X(旧ツイッター)の公式アカウントで声明を発表した。

この声明は、組織再編のために、トランプ氏がルビオ氏を暫定的にUSAIDのトップに据えたことも伝えている。ルビオ氏はマスク氏よりは柔軟な姿勢を見せ、「USAIDが実施している援助計画それ自体を打ち切る考えはない」と保証した。

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