最新記事
オーストラリア

オーストラリアの砂浜に「謎の球体」が大量に流れ着く...人間の排泄物や細菌も検出、その正体とは?

Mystery Balls on Beaches Found To Contain 'Fecal' Bacteria

2025年1月26日(日)20時15分
ジェス・トムソン

少し前にはゴルフボール大の黒い球体が漂着

この地域では、これらの球が姿を現す数カ月前にも、別の奇妙な漂着物が次々と打ち上げられていた。黒い色をしていたので「タールボール」と呼ばれるようになったゴルフボール大の塊は、2024年10月にシドニーのビーチに初めて流れ着き、数カ月にわたって漂着が続いた。

しかし検査の結果、これらの大きな球はタールでできているのではなく、人のふん便、娯楽用の麻薬、毛髪、有機フッ素化合物(PFAS)、軽油、食用油が含まれていることが判明した。

「タールボール」を分析したニューサウスウェールズ大学の化学教授ジョン・ビーヴェスは2024年11月、オーストラリアの報道機関ABCの取材に対し、「下水に存在するような、人間が生み出した廃棄物と一致している」と述べた。

「地域の下水システムから来たものなのか、船から排出されたものなのか、豪雨の際に下水が溢れて流れ出したものなのか、あるいは、私たちが知らないほかの原因によるものなのか、私にはわからない」とビーヴェスは説明した。「原油流出によるものでないことは確かだ。人間が生み出した廃棄物や汚染物質が、何らかの形で海に入り込んだのだ」

ビーヴェスによれば、これらの球は悪臭がひどく、分析するのは「非常に不快」だったという。

これらの球は、「ファットバーグ(fatberg)」に似ていると考えられた。ファットバーグとは、下水に蓄積する油脂や、非生分解性の廃棄物(ウェットティッシュ、生理用品など)が凝固した塊だ。ファットバーグは巨大化することがあり、ときには重さ数トン、長さ数十~数百メートルに達する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英シュローダー、第1四半期は98億ドル流出 中国合

ビジネス

見通し実現なら利上げ、米関税次第でシナリオは変化=

ビジネス

インタビュー:高付加価値なら米関税を克服可能、農水

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中