最新記事
自然

マレーシアの砂浜で、巨大な「グロブスター」を発見...強烈な悪臭を放つ「謎の肉塊」に地元は大パニック

Freaky Mass of Gloop Washes Up on Beach

2024年4月13日(土)12時57分
ジェス・トムソン
海の中の謎の存在

Allexxandar/iStock

<元の姿が分からず「正体不明」となって海岸に漂着した死骸は「グロブスター」と呼ばれ、各地でたびたび発見されている>

マレーシアのビーチに奇妙な肉の塊が打ち上げられ、話題となっている。この謎の物体は4月5日、ルンドゥのテロックメラノビーチで発見され、地元当局によってこの「肉塊」の写真がFacebookに投稿された。沿岸救助隊がビーチの周辺を監視していた際に発見したという。地元当局はこれを、クジラの腐乱死体とみている。

■【閲覧注意】強烈な悪臭をまき散らし...海からやってきた正体不明の「巨大な肉塊」の実際の写真

クジラの種類や死因は特定されていない。クジラは自然死することもあれば、人間の活動が原因で死ぬこともある。漁具に絡まったり、船やボートと衝突したりすることもある。

地元紙ニュー・サラワク・トリビューンは、この地域でクジラの死体が打ち上げられるのは稀で、ひと目見ようと人々が押し寄せたと報じている。

クジラが海で死ぬとすぐに腐敗が始まり、バクテリアによって組織が分解され、メタンや硫化水素などのガスが発生する。その結果、死体が膨張し、浮いてくる。死体が海面に浮き上がると、サメ、魚、海鳥、甲殻類などの餌になる。これらの動物が食べるのは、死体の皮脂や筋肉組織、内臓だ。

最終的に、クジラの死体は腐敗が進んだり断片化したりして浮力を保てなくなり、海底に沈む。しかし、今回発見されたクジラは、そうなる前に海辺に打ち上げられたとみられる。

たびたび発見される謎の「グロブスター」

クジラの死体が海底に沈むと、「ホエールフォール(鯨骨生物群集)」がつくられ、タコ、カニ、サメから、深海に生息する多毛類やナマコまで、多くの生物によって食べられ、分解される。

豪マッコーリー大学の海洋生物学教授のキュラム・ブラウンは、「死んだクジラが様々な腐敗の段階で打ち上げられるのは珍しいことではない」と本誌に語った。

クジラなど海洋動物の死体が海岸に打ち上げられると、強い悪臭を放つ。カダベリンやプトレシンといった悪臭のあるガスが腐敗の過程で発生するからだ。

クジラの死体は通常、それとわかる状態で打ち上げられるが、腐敗が進み、判別できない状態のものもあり、それらは「グロブスター」と呼ばれる。昨年10月にはパプアニューギニアで謎の海洋哺乳類の肉塊が、2022年には米オレゴン州で毛で覆われたグロブスターが打ち上げられた。

ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ユーロ、対ドルで約7週間ぶり高値 好

ワールド

米特使・プーチン氏会談、「まずまず良い」協議だった

ワールド

ドイツ、防空システム「アロー」導入 ロシアの脅威に

ビジネス

米国株式市場=続伸、指標受け利下げ観測継続 マイク
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 6
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    トランプ王国テネシーに異変!? 下院補選で共和党が…
  • 10
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中