最新記事
移民問題

次期トランプ政権は不法移民の強制送還で自分の首を絞める

DEPORTATION DEBACLE

2025年1月16日(木)13時24分
クリスティーナ・ルー(フォーリン・ポリシー誌記者)
共和党全国大会のトランプ支持者(2024年7月)

不法移民の排除で全てが良くなるような幻想が広がった(昨年7月の共和党全国大会) ALEX WONG/GETTY IMAGES

<トランプが軍を出動させてまで実施すると誓った「外国人労働者2000万人排除」計画は自滅の道?>

「アメリカ史上最大の強制送還を実施する」──ドナルド・トランプ次期米大統領はそう誓っている。不法移民を一掃するためにはカネに糸目をつけないというのだ。しかし移民排除の経済的代償を考えると、作戦実施は自滅の道につながりかねない。

大統領選でトランプは移民問題の早期解決を掲げて有権者の圧倒的な支持を得た。1500万〜2000万人をアメリカから追い出すとまで豪語したこともあるが、J・D・バンス次期副大統領は「手始めに最も暴力的な犯罪者である100万人」を送還すると述べている。


だが新政権発足後に、こうした計画を実施するとなると、ロジスティクス面に加え、法的、政治的、財政的な障壁に直面することになる。実際にどれだけのことを、どれほど迅速に行えるかは疑問だ。しかし仮にトランプが公約に近い規模の送還を成し遂げたら、米経済は大打撃を受けるとエコノミストらは警告する。

「人道的、法的な問題はさておき、(大量送還は)経済に破壊的な影響を及ぼすだろう」と、米シンクタンク・ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は言う。「有権者がそれを十分に理解しているとは思えない」

アメリカにいる不法移民は推定1100万人前後。アメリカの労働力人口の5%近くを占め、特に農業、建設、レジャー・接客部門で大きな割合を占めている。2017年時点で、不法移民の約66%が10年以上アメリカで生活し、不法移民の親の下でアメリカで生まれた未成年者(市民権を持つ)は約440万人に上ると報告されていた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:戦闘で労働力不足悪化のロシア、インドに照

ワールド

アングル:フロリダよりパリのディズニーへ、カナダ人

ビジネス

NY外為市場=ドル横ばい、米CPI受け 円は週間で

ビジネス

米国株式市場=3指数が週間で下落、AI巡る懸念継続
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    【インタビュー】「4回転の神」イリヤ・マリニンが語…
  • 7
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 8
    機内の通路を這い回る男性客...閉ざされた空間での「…
  • 9
    中国の砂漠で発見された謎の物体、その正体は「ミサ…
  • 10
    「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベル…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中