最新記事
米政治

不法移民の強制送還に「軍を動員」示唆するトランプ、そのとき何が起こるのか

2024年12月1日(日)16時35分
ドナルド・トランプ 国境の壁

11月26日、トランプ次期米大統領は、数百万人の不法移民の強制送還に米軍を活用することを公約している。国内では連邦軍を動員しないという米国の伝統に反する構想だが、法律の専門家によれば、司法の場で争ったとしても阻止することは難しそうだ。写真は、メキシコとの国境でスピーチするトランプ氏。8月22日、米アリゾナ州で撮影(2024年 ロイター/Go Nakamura)

トランプ次期米大統領は、数百万人の不法移民の強制送還に米軍を活用することを公約している。国内では連邦軍を動員しないという米国の伝統に反する構想だが、法律の専門家によれば、司法の場で争ったとしても阻止することは難しそうだ。

トランプ氏の政策顧問らは、収容所の建設、不法移民の国外移送に軍を活用し、国境警備隊や移民局職員には捜査や身柄の拘束に専念してもらうと話している。

専門家は、軍の役割がメキシコ国境沿いを中心とする支援の任務に限定され、容疑者と接触しないのであれば法的には問題がない可能性があるとしている。

米空軍士官学校のライアン・バーク教授(軍事・戦略研究)は、個人の見解としつつ、「こうした計画に異議を唱えても、恐らく成功する可能性は低いと思う」と語る。「関連の法律には曖昧な点が多すぎて、これをやっては絶対にだめという規定を示すのは難しい」

1878年の民警団法は、連邦軍が国内法の執行に関与することを禁じている。ただし連邦議会は、例外として、大統領に対し、違法薬物取引の取締りや法秩序が崩壊した状況における支援任務に関しては、連邦軍を効果的に活用する権限を与えた。

トランプ氏は、移民の強制送還に軍隊をどのように動員するつもりか説明していない。同氏はSNS「トゥルース・ソーシャル」において、トランプ政権は不法移民の大量強制送還に「軍事的なアセット」を使うだろうというユーザーの投稿に対して、「そのとおり!(TRUE!)」と応じた。

編集部よりお知らせ
ニュースの「その先」を、あなたに...ニューズウィーク日本版、noteで定期購読を開始
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪、35年の温室効果ガス排出目標設定 05年比62

ワールド

CDC前所長、ケネディ長官がワクチン接種変更の検証

ビジネス

TikTok合意、米共和党議員が「中国の影響継続」

ワールド

中国国防相、「弱肉強食」による分断回避へ世界的な結
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中