最新記事
安全保障

プーチンの後退は欧州の勝利にあらず

PUTIN’S SETBACKS ARE COLD COMFORT FOR EUROPE

2025年1月6日(月)12時05分
ヨシュカ・フィッシャー(元ドイツ外相)
国連の任務から帰還したドイツ軍部隊

国連の任務から帰還したドイツ軍部隊(2023年12月) ALEXANDER KOERNER/GETTY IMAGES

アメリカで第2次トランプ政権が始まることを、ロシアのプーチン大統領は間違いなく喜んでいる。トランプは以前からプーチンを称賛し、ウクライナにロシアから国を守るための相当な支援を提供するバイデン米大統領の政策を中止する意向を示している。

しかも米議会では共和党が上下両院を支配し、民主党が重視する支出を徹底的に削減しようとしている。アメリカのウクライナ支援はいずれ打ち切られるだろう。


ウクライナが失うアメリカの支援を、欧州が補うことはできない。欧州にはその意思も能力もない。

最近のシリア情勢の展開はプーチンに不利だといわれるが、だからといってウクライナや欧州の勝利につながるわけではない。確かにプーチンは、シリアのアサド大統領の失脚で重要な同盟国を失った。盟友イランも著しく弱体化している。シリア反体制派の勝利によって、イランはレバノンと地中海につながるルートを失う。さらにイスラエルはイランが支持する武装組織のネットワーク「抵抗の枢軸」を激しく痛めつけ、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとパレスチナのイスラム組織ハマスの指導者を排除し、イランの主要な国内防空網も破壊した。

アサド政権の崩壊を受けて、ロシアはシリアの地中海沿岸にある基地から部隊を撤収させている。これは、アフリカ諸国に配備した軍隊への主要供給ルートを失うことを意味する。グローバルな大国を築きたいプーチンにとっては、深刻な後退だ。

メンバーシップ無料
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トルコ外相、イラン紛争終結へ全勢力と協議 オマーン

ワールド

トランプ氏、軍に先制行動命令と説明 国務長官と矛盾

ビジネス

日経平均は続落で寄り付く、5万5000円割れ 米株

ビジネス

ブラックストーン傘下ファンドに解約請求殺到、直接融
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び率を記録した「勝因」と「今後の課題」
  • 4
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 5
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 6
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 9
    イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する…
  • 10
    「日本食ブーム」は止まらない...抹茶、日本酒に「あ…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 10
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中