イランの弱体化でトランプは中東安定化の好機を生かせるか
MIDDLE EAST
トランプ政権がサウジアラビアとイスラエルの関係改善を仲介したいなら、ヨルダン川西岸の入植地建設を進め、パレスチナ自治政府の崩壊を狙うネタニヤフ政権内の極右の動きに待ったをかける必要がある。同時に、機能不全に陥っているパレスチナ自治政府に改革を進めるよう強く働きかける必要もある。今ならサウジアラビアやUAEも改革推進の圧力をかけてくれるだろう。
直感に反するにせよ、2025年は中東情勢は安定に向かう可能性がある。もちろん、そこは中東のこと。物事はたいがい裏目に出る。イランは地域大国の座を取り戻そうと、核保有を急ぐかもしれない。ガザ戦争は終わらないかもしれず、フーシ派は海賊行為を続けるかもしれない。悪いカードを探せばキリがないが、トランプ率いる次期政権には挑戦のチャンスが与えられている。
イランの影響力低下をテコに中東の安定化を推進できるかどうか。それがこの政権の外交力を試す初期の最大のテストの1つとなる。
デニス・ロス
DENNIS ROSS
ブッシュ(父)およびクリントン政権下で中東和平交渉を担当。ヒラリー・クリントン国務長官(当時)の中東・東南アジア特別顧問。

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