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「トランプは法律を破ることに罪の意識を感じない」再登板で試される民主主義

U.S. POLITICS

2024年12月26日(木)16時09分
アーウィン・チェメリンスキー(米カリフォルニア大学バークレー校法科大学院学長)

上院民主党としては、フィリバスター(議事妨害)は問題点も多いとはいえ、トランプの過激な立法の試みを妨害する唯一の手段となる。

ただしフィリバスターは憲法でも連邦法でもなく、上院の規則に定められているだけで、上院共和党は単純多数決で規則を変更できる。


実際、2013年と17年に変更されたことがあり、連邦判事や政府高官の指名をめぐるフィリバスターの使用が制限された。

さらに、1期目はトランプの最悪の衝動をある程度まで抑制する高官が政権内に数多くいたが、今回は違う。

マーク・エスパー元国防長官、ジョン・ケリー元大統領首席補佐官、H・R・マクマスターとジョン・ボルトン元国家安全保障問題担当補佐官など多くの元側近がトランプの再選に公然と反対した。彼らが政権入りすることはない。

2期目のトランプは、彼を抑えるのではなく後押しする忠実な側近に囲まれるだろう。せめて国防長官や国務長官、司法長官などの最重要ポストに就く人々が、必要なときは大統領に抵抗するよう祈るしかない。

最終的には裁判所、特に連邦最高裁が、トランプを牽制する役割を担う。

しかし、最高裁判事9人のうち6人は共和党系の保守派で、トランプに立ち向かう意思があるかどうかは非常に疑問だ。1期目にも、最高裁がその役割を果たせないケースがしばしばあった。

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