最新記事
シリア

シリア政権崩壊...反体制派の電撃進軍を可能にした「完璧な条件」とは?

2024年12月9日(月)21時21分
ダマスカスから立ち上る煙

12月9日、約6カ月前、シリアの反体制派はアサド大統領による権力を弱める好機が訪れたことを察知した。写真は8日、ダマスカスから立ち上る煙(2024年 ロイター/Mohamed Azakir)

約6カ月前、シリアの反体制派はアサド大統領による権力を弱める好機が訪れたことを察知した。トルコに大規模な攻勢計画を伝えたところ、同国から暗黙の承認が得られたという感触があったからだ。計画を知る情報筋2人が語った。

この作戦は開始からわずか2週間で、当初の目標だったシリア第2の都市アレッポの制圧を達成し、ほぼ全員を驚かせた。それから1週間余りで反体制派連合軍は首都ダマスカスに到達し、8日にはアサド氏一族による50年にわたる支配に終止符を打った。


 

電撃的な進撃が可能になったのは、反体制派にとってほとんど完璧とも言える条件が整ったおかげだ。アサド政権の軍は士気が低下し、疲弊していた。政権の主要同盟相手だったイランとレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラは、イスラエルとの戦争で深刻な打撃を受けていた。その上、アサド政権にとってもう1つの主要な軍事支援国であるロシアは、ウクライナ侵攻に気を取られ、シリアへの関心をなくしていた。

中東の外交官とシリア反体制派メンバーは、内線の初期から反体制派を支援してきたトルコに通知せずに反体制派が行動を起こすことはあり得なかったと語った。

トルコはシリア北西部に軍を駐留させ、シリア国民軍(SNA)など一部の反体制派を支援してきた。ただ、反体制派連合の主要グループであるシャーム解放機構(HTS、旧ヌスラ戦線)についてはテロ集団とみなしている。

中東の外交官によると、反体制派の大胆な作戦はHTSとその指導者アブ・ムハンマド・アル・ゴラニ氏の発案だった。

ゴラニ氏は過去に国際テロ組織アルカイダとつながっていたため、米国、欧州、トルコからテロリストに指定されている。

食と健康
消費者も販売員も健康に...「安全で美味しい」冷凍食品を届け続けて半世紀、その歩みと「オンリーワンの強み」
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米中、TikTok巡り枠組み合意 首脳が19日の電

ワールド

米国務長官、カタールに支援継続呼びかけ イスラエル

ビジネス

NY州製造業業況指数、9月は-8.7に悪化 6月以

ビジネス

米国株式市場・午前=S&P・ナスダックが日中最高値
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中