最新記事
中東情勢

イスラエル、ヒズボラと停戦でもガザでの合意は見通せず

2024年11月28日(木)21時08分

連日の攻撃

ガザでの戦闘は、大方の予想をはるかに超えて長期化している。約1年2カ月間に及ぶ戦闘でガザの大部分は廃墟と化し、約4万4000人のパレスチナ人が犠牲となった。イスラエル軍は依然としてハマスの一掃を目指し、ガザの広範囲を連日攻撃している。

イスラエルとヒズボラの停戦合意のニュースは、見捨てられて忘れ去られたと感じているガザ住民の多くに暗い気持ちで受け止められた。


 

ガザ中央部のテントで家族とともに避難生活を送るアヤさん(30)は「ある場所に雨が降れば、別の場所にいる人々にとって良いことが起こる前兆だという。レバノンの停戦合意の後、戦争を終わらせるための努力がガザに集中的に振り向けられることを願っている」と語った。

イスラエルとハマスの仲介で中心的な役割を果たしているエジプトでも、かすかな楽観論が浮上した。エジプト安全保障筋の2人によると、イスラエルはレバノンでの停戦が維持された場合、ガザでの停戦交渉を再開させるとエジプトに通告した。

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)はバイデン氏が特使をトルコ、カタール、エジプトなどの中東諸国と交渉させることで、ガザでの停戦に向けた働きかけを再開させると明言した。

しかし、米大統領は来年1月にトランプ氏に交代する。トランプ氏は戦闘終結に向けて取り組むとしながらも、どのように実現するかの計画を何も示していない。パレスチナ人たちはトランプ氏がこれまでに極めてイスラエル寄りの姿勢を示してきたことから楽観視していない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米中が閣僚級電話会談、貿易戦争緩和への取り組み協議

ワールド

米、台湾・南シナ海での衝突回避に同盟国に負担増要請

ビジネス

モルガンSも米利下げ予想、12月に0.25% 据え

ワールド

トランプ氏に「FIFA平和賞」、W杯抽選会で発表
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開きコーデ」にネット騒然
  • 4
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中