最新記事
中東情勢

イスラエル、ヒズボラと停戦でもガザでの合意は見通せず

2024年11月28日(木)21時08分
イスラエルの攻撃で破壊された、避難所となっているガザの学校施設

11月27日、イスラエルとレバノンの親イラン武装組織ヒズボラが1年超に及んだ戦闘の停止で合意したのを受け、イスラエルとイスラム組織ハマスがパレスチナ自治区ガザで繰り広げている戦闘の行方に対する注目が再び高まっている。写真は同日、イスラエルの攻撃で破壊された、避難所となっているガザの学校施設で撮影(2024年 ロイター/Dawoud Abu Alkas)

イスラエルとレバノンの親イラン武装組織ヒズボラが1年超に及んだ戦闘の停止で合意したのを受け、イスラエルとイスラム組織ハマスがパレスチナ自治区ガザで繰り広げている戦闘の行方に対する注目が再び高まっている。しかし、戦闘が早期に終結することは望み薄の公算が大きい。

イスラエルとヒズボラの停戦が27日に発効し、ここ数カ月間で急激にエスカレートしていた攻撃に終止符が打たれた。


 

バイデン米大統領はイスラエルとヒズボラの停戦合意を発表した際、ガザでの停戦に向けて働きかけをするとしてイスラエルとハマスに応じるよう促した。

しかし、イスラエルの指導者らがハマスに対して手を緩めようとする兆候は見られない。

イスラエルの安全保障問題関係閣僚会議に出席する国内治安機関シャバク(シンベト)元長官のディヒテル農相は今週、外国の報道陣に「ガザがイスラエルの脅威となることは二度とないだろう。私たちはそこで決定的な勝利を収める。レバノンとは違う」と言い切った。さらに「私たちは(ガザでの掃討の)終わりの始まりにいるのだろうか。明らかに違う。取り組むべきことが依然として山積している」と強調した。

イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスが昨年10月のイスラエル攻撃で人質に取った101人のイスラエル人が人質として拘束されたままだと訴え、全員を帰還させてハマスを撲滅すると誓った。

イスラエルとハマスの交渉は長い間停滞しており、互いに行き詰まりの原因は相手にあると非難している。ハマス幹部のサミ・アブ・ズーリ氏は27日にロイターに対し、イスラエルが頑迷だと非難して「今回の(イスラエルとヒズボラの)合意が、ガザの人々に対する虐殺戦争を終わらせる合意に達する道が切り拓かれることを望んでいる」と語った。

一方、イスラエルと米国はハマスが誠実な交渉に応じていないと非難している。

ガジェット
仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、モバイルバッテリーがビジネスパーソンに最適な理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

FIFAがトランプ氏に「平和賞」、紛争解決の主張に

ワールド

EUとG7、ロ産原油の海上輸送禁止を検討 価格上限

ワールド

欧州「文明消滅の危機」、 EUは反民主的 トランプ

ワールド

米中が閣僚級電話会談、貿易戦争緩和への取り組み協議
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 5
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 6
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中