最新記事
ガザ

ガザへの食料援助が急減、イスラエルの規制強化で=関係筋

2024年10月3日(木)11時20分
食べ物を求めるガザの子どもたち(9月撮影)

パレスチナ自治区ガザへの食料供給がここ数週間で急減していることが分かった。9月撮影(2024年 ロイター/Mahmoud Issa)

パレスチナ自治区ガザへの食料供給がここ数週間で急減していることが分かった。イスラエル当局が一部の人道援助物資に対して新たな税関規制を導入したほか、商業輸送も縮小したことが要因という。関係者がロイターに明らかにした。

事情に詳しい関係者7人によると、新たな税関規制は、ヨルダンからイスラエル経由でガザに援助を運ぶために国連がチャーターしたトラックに適用される。関係者によると、救援機関側は8月中旬に発表されたこの規制に異議を唱えている。援助物資がハマスなどイスラエルの敵対勢力に渡った場合、職員が法的問題に巻き込まれる懸念があるという。

その結果、物資は2週間、ガザへの物資供給の主要経路であるヨルダンルートを通らなくなっている。関係者は、キプロスやエジプト経由の物資輸送に影響はないとしている。

これと並行し、イスラエル当局がガザへの食料の商業輸送を制限していることも、事情に詳しい関係者が明らかにした。ハマスが取引から利益を得ているとの懸念があるという。

国連とイスラエルのデータによると、9月の食料と援助物資の供給は7カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。これまで報じられていなかったこの2つの規制によって、230万人のガザ住民の食料不足がさらに悪化するとの懸念が高まっている。

食料供給を巡る懸念は、昨年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃後に始まった戦争で最も困難な問題の一つ。今年5月、国際刑事裁判所(ICC)の検察官は、イスラエルが民間人の飢餓を戦争の手段として利用した疑いがあるとして、ネタニヤフ首相に対する逮捕状を請求した。こうした疑いをイスラエルは否定している。

情報筋によると、新しい通関規制に対し、国連側は代替案を提案しており、イスラエル側が受け入れることを期待しているという。

イスラエルの占領地政府活動調整官組織(COGAT)の統計によると、ガザへの商業輸送は7月の1日平均140台から9月には80台に減少。ガザを拠点とする貿易関係者によると、9月後半の2週間には、平均45台まで落ち込んでいるという。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中