最新記事
要人警護

またトランプ暗殺未遂、必要なら装甲車も持ち出す要人警護の壮絶な現場

Donald Trump's 'Off-the-Record' Golf Trip Explained by Secret Service

2024年9月17日(火)17時32分
ケイトリン・ルイス
シークレットサービスのロウ長官代行

米上院委員会の公聴会で7月にトランプに対する銃撃を防げなかった責任を問われたばかり、シークレットサービスのロウ長官代行(7月30日) Photo by Yuri Gripas/ABACAPRESS.COM

<もともと予定にはなかったゴルフなのに、容疑者はなぜそこで待っていたのか。常に不確定要素がつきまとう仕事でありながら絶対の結果を求められるシークレットサービス>

ドナルド・トランプ前大統領が9月15日、フロリダ州ウェストパームビーチにある自身のゴルフクラブを訪れたのは「非公式」の行動だった。米大統領警護隊(シークレットサービス)のロナルド・ロウ長官代行はそう語った。

【動画】シークレットサービスの極秘本部に潜入、その施設と装備は

この週末、フロリダ州南部の「トランプ・インターナショナル・ゴルフクラブ」でゴルフをしていたトランプに対する暗殺未遂とみられる事件と関連して、ライアン・ラウス容疑者(58歳)が身柄を拘束された。これは、2024年の米大統領選において、トランプを狙った2度目の暗殺未遂事件となる。前回は7月13日、ペンシルベニア州バトラーで開かれたトランプの集会で発生し、銃撃を受けた同氏は右耳上部を負傷した。

今回の事件で負傷者は報告されておらず、米連邦捜査局(FBI)の指揮で捜査が進められている。

法執行当局によると、15日にシークレットサービスの警護官1名が、前大統領から500ヤード(約457m)と離れていない茂みに沿ったフェンスから、容疑者がライフルの銃身を突き出しているのに気づいて発砲。後方にいた警護官たちがトランプをカバーし、ラウス容疑者は車で逃走。その後、近くの郡で身柄を拘束された。

もともと予定にはなかった

ロウ長官代行は16日午後の記者会見で、トランプが15日にゴルフ場を訪問したのは、予定表にはない行動だった、と記者団に説明した。

「昨日は、シークレットサービスの警備手法が効果を発揮した」とロウは述べた。ロウは、7月13日にバトラーで1度目のトランプ暗殺未遂事件があったときにシークレットサービスが批判を受け、キンバリー・チートル前長官が辞任した後に長官代行に就任した人物だ。

ロウは記者団に対し、前大統領が「もともと(ゴルフ場に)行く予定ではなかった」ため、「事前の人員配備」はトランプがゴルフをすると決めてから行ったと述べた。シークレットサービスはトランプがゴルフをするあいだ、前方のホールの「安全確認」を行なうなど、「重層的なアプローチ」をとっていた、とロウは強調した。

「おかげで、木立の中にいた容疑者を発見できた」とロウは16日の会見で述べ、「捜査官は、前方で安全確認をして危険を発見するという自分の仕事をした」

現段階では、トランプがゴルフ場にいることをラウス容疑者が知っていたかどうか、あるいはどのようにして知ったかについての情報は得られていない、とロウは付け加えた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン主要濃縮施設の遠心分離機、「深刻な損傷」の公

ワールド

欧州委、米の10%関税受け入れ報道を一蹴 現段階で

ワールド

G7、移民密輸対策で制裁検討 犯罪者標的=草案文書

ワールド

トランプ氏「ロシアのG7除外は誤り」、中国参加にも
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 7
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    コメ高騰の犯人はJAや買い占めではなく...日本に根…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中