最新記事
北朝鮮

北朝鮮の「女子アナ」がショック死 「内臓がはみ出し...」「虐殺レベル」 見せしめ極刑の衝撃場面

2024年7月9日(火)11時59分
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト) ※デイリーNKジャパンより転載
北朝鮮で見せしめの公開処刑が増加

Fly Of Swallow Studio/Shutterstock

<脱北者が語ったのは、北朝鮮で行われている残酷な公開処刑の現実。情報統制が困難になるにつれ、処罰の強化による恐怖政治に頼らざるを得なくなっているという>

北朝鮮はコロナ禍以降、恐怖政治をさらに強化している。

一度に10人以上を公開銃殺にすることもあれば、10代の若者も極刑の対象に含めてている。実際にその場面を目撃した脱北者は「虐殺」レベルだと怒りをあらわにした。

キム・イルヒョクさん:一度に9人、11人と言葉にするのは簡単ですが、撃ち殺されているのは人間です。積み上がった遺体が山をなすほどで、想像するだけで恐ろしいことです。

昨年5月に木造船に乗って脱北したキム・イルヒョクさん。彼が北朝鮮で目撃したのは少なくとも10回以上に及ぶ。キムさんは、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に応じ、コロナ禍の始まる前の2019年から公開処刑が増え、黄海南道(ファンヘナムド)載寧(チェリョン)郡では昨年2月と3月、2回に分けて合計20人が銃殺されたと証言した。

キムさんは脱北直前の昨年4月初旬、黄海南道の碧城(ピョクソン)郡の中心市街地で、刑の執行を目の当たりにした。

野菜畑に引き立てられてきた死刑囚は、顔を布で覆われ、柱に縛りつけられた。その場には1000人もの人が動員され、一部始終を見せられた。そして、安全員(警察官)は、彼が強盗殺人を犯したとメガホンを使って罪状を読み上げた。

その後、安全員3人が現れ、それぞれ3発ずつ銃弾を打ち込んだ。この光景を最前列で目の当たりにした、朝鮮労働党碧城郡委員会の宣伝部の女性放送員(アナウンサー)は、ショックのあまりその場で気を失った。

キムさん:安全員3人がやって来て(死刑囚を)撃ちました。内臓が...(はみ出た)。最前列でそれを目の当たりにした、(碧城)郡の(朝鮮労働)党の宣伝部放送員は、嘔吐して気絶し、車で運ばれていきました。次の日に聞いたところでは、心臓発作で亡くなったそうです...

(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面

米国の人権団体「北朝鮮人権委員会」(HRNK)のグレッグ・スカラチュー事務総長は、こうした傾向について次のように述べた。

スカラチュー氏:思想(の状況)が乱れれば、北朝鮮は当たり前のように恐怖政治を行います。これがいま北朝鮮で起きていることです。情報統制が徐々に困難となりつつあることには疑いの余地はありません。したがって、処罰が強化され、処刑が行われます。また、金正恩氏の思想にも大きな問題があります。彼が、金氏一家の(家訓である)統一という概念を取り払い、レーニンとマルクスの要素を前面に出したことで、イデオロギー的には深刻な混乱が起きています。それで処罰を強化するしかないのです。

(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

[筆者]
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト)
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)、『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)、『北朝鮮ポップスの世界』(共著、花伝社)など。近著に『脱北者が明かす北朝鮮』(宝島社)。

※当記事は「デイリーNKジャパン」からの転載記事です。

dailynklogo150.jpg



ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

8月米卸売在庫横ばい、自動車などの耐久財が増加

ビジネス

10月米CPI発表取りやめ、11月分は12月18日

ビジネス

ミランFRB理事、12月に0.25%利下げ支持 ぎ

ワールド

欧州委、イタリアの買収規制に懸念表明 EU法違反の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 3
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体制で世界の海洋秩序を塗り替えられる?
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 7
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 8
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中