最新記事
2024米大統領選

カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5つの理由

Kamala Harris is Donald Trump's worst nightmare for five reasons

2024年7月23日(火)16時27分
ハレダ・ラーマン

バイデンが退いたら最高齢

トランプはこれまで、バイデンが高齢で大統領として適任ではないと繰り返し攻撃してきた。だがハリスのように若い候補者がバイデンに代わって民主党の候補指名を獲得すれば、トランプは米史上最高齢の大統領候補になる。

世論調査では、多くのアメリカ人がトランプは大統領として2期目を務めるには高齢すぎると考えているという結果が示されている。

トランプの支持層は大衆、ハリスはエリート

ハリスの立候補は、2024年の大統領選に勝利する上できわめて重要な(そしてバイデンが支持を失いつつあった)若い有権者の熱狂に火をつける可能性がある。

米シラキュース大学のグラント・リーハー教授(政治科学)は本誌に対して、「ハリスは大統領選に向けた民主党支持者のエネルギーや熱狂を呼び起こすことができる可能性が高い」と述べた。「バイデンの後継候補になる意思を表明してすぐに献金が舞い込んでいるのは、彼女にとっていい兆候だ」

もっとも、英ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのトーマス・ギフト准教授(政治科学)のように、民主党支持者は「カマラ・ハリスが民衆によって選ばれた大統領候補だと急いで自分たちを納得させようとしているように見える」とする指摘もある。

ハリスは2019年に(翌2020年の)大統領選への立候補を表明したが、最初に民主党の「予備選から姿を消した」と、ギフトは述べ、さらに続けた。

「(副大統領に就任してから)3年半の大半の期間、ハリスの支持率はよくてもバイデンに並ぶ程度だった。ハリスの真の問題は、彼女の支持が民主党のエリート層によって支えられているトップダウン型であるのに対し、トランプの支持が共和党の一般有権者によって支えられているボトムアップ型であることだ」

有罪のトランプ、検察官のハリス

ハリスが民主党の候補指名を確実にすれば、黒人で南アジア系の女性として初めて主要政党の大統領候補になるという歴史的快挙を達成することになる。彼女は「歴史的に重要な意味を持つ候補者だ」とリーハーは言う。

だがトランプと対決するにあたって彼女が強調するのは、州司法長官としての経歴だろう。トランプは5月にニューヨーク州の裁判所で、不倫の口止め料をめぐる刑事裁判で有罪評決を受けている(量刑の言い渡しは9月)。

「とにかく問題を細かく分解していくのが検察官のやり方だ」とハリスは4月に米CNNに述べた。「なぜ自分たちがこの結論に達したのかを正確に示す経験的な証拠を提示し、相手にそれを思い出させる。トランプもそれから逃げることはできない」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英住宅ローン融資、3月は4年ぶり大幅増 優遇税制の

ビジネス

LSEG、第1四半期収益は予想上回る 市場部門が好

ワールド

鉱物資源協定、ウクライナは米支援に国富削るとメドベ

ワールド

米、中国に関税交渉を打診 国営メディア報道
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中