最新記事
戦場ウクライナの日本人たち

元福島原発作業員、起業家、ピカチュウ姿のボランティア...戦火のウクライナで生き抜く日本人たちの実話

JAPANESE IN UKRAINE

2024年6月6日(木)17時00分
小峯 弘四郎(フォトジャーナリスト)

元福島原発作業員の兵士

兵庫県神戸市出身で、23年1月にウクライナ入りした日本人義勇兵の箕作さん(仮名)は、複雑な経歴の持ち主だ。

子供の頃に阪神・淡路大震災を経験し、箕作さんの家は経済的な苦労を強いられた。高校と大学をいずれも中退し、自衛隊に入隊。退官後は法律事務所で働き、法律資格を取ってその職に従事していたが、業務上のトラブルに巻き込まれ、仕事を辞めて上京する。その後は飲食店の経営を始め、持ち家も所有。生活に不自由はなかった。

newsweekjp_20240606024254.jpg

「少しでも現地の改善の力になりたい」と語る義勇兵の箕作さん KOSHIRO KOMINE

ウクライナに来たのは、ウクライナで兵士として戦っていた、20代の頃からのアゼルバイジャン人の友人に会うためだった。ジョージアを旅行した時、日本の文化に興味があり日本語を勉強していた彼と偶然会い、意気投合した。

ナゴルノ・カラバフの問題や、ロシア軍に家族や友人が多く殺された話を聞いていたので、彼がロシアに対して強い怒りを持っていることを知っていた。彼の心配だけでなく、実際に何が起きているのかを知るためにウクライナ入りし、話を聞いているうちに、ウクライナ人のために戦いたいと思うようになった。

箕作さんは東日本大震災後、福島第一原発の作業員として働いたこともある。福島には約20カ月間滞在して、福島第一原発や南相馬で除染処理の仕事をした。「少しでも現地の改善の力になりたいと思ったのです」と、箕作さんは言う。ウクライナに来たのも同じ理由からだ。

ウクライナでは歩兵として入隊できる部隊を探し、外国人兵士も多数所属しているブラザーフッド大隊(編集部注:ドンバス紛争の退役兵や戦闘未経験の兵士らで構成された部隊)に入隊した。それでも人種間のトラブルや兵士への扱い方など入隊してみないと分からないことが多く、その後は外国人義勇兵が多くいる別の部隊に入隊し直し、ドンバス地方の前線で戦っている。

<記事の続き>
連載第2回:ほっとして隣を見たら「顔が半分ない死体」が...今も「戦地ウクライナ」に残る日本人たち、それぞれの物語
連載第3回:ウクライナ戦場で勲章を受けた日本人「BIGBOSS」...48時間の「脱出劇」

ニューズウィーク日本版 総力特集:ベネズエラ攻撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月20号(1月14日発売)は「総力特集:ベネズエラ攻撃」特集。深夜の精密攻撃で反撃を無力化しマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ大統領の本当の狙いは?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インドのスマホセキュリティー案に批判、監視強化を懸

ビジネス

MS、データセンターの電力と水使用の地域影響抑える

ワールド

イスラエルを国際司法裁判所に付託も、UNRWA問題

ワールド

米最高裁保守派判事、トランス選手の女子競技参加禁止
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救った...実際の写真を公開、「親の直感を信じて」
  • 3
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が話題に 「なぜこれが許されると思えるのか」
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 8
    「お父さんの部屋から異臭がする」...検視官が見た「…
  • 9
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中