日韓協力の新局面......通貨スワップ協定で経済を支える
韓国銀行は日本銀行と上限100億ドル、期間3年の米ドル建て通貨スワップ協定を締結した......(写真は2023年3月)Kiyoshi Ota/REUTERS
<韓国の2023年の貿易収支は大幅な赤字。対中国貿易赤字が主因で、外貨準備は減少傾向に。日本との通貨スワップ協定が経済安定化の鍵となる......>
韓国産業通信資源部は24年1月1日、23年度の貿易収支は99億7000万ドルの赤字だったと発表した。対中国貿易が赤字となった影響が大きいという。韓国の対中国貿易は国交を正常化した1992年以降、黒字を計上。03年下期から20年間、最大の貿易黒字国だった。
23年12月末時点の韓国の外貨準備高は前年末と比べて30億1千万ドル少ない4201億5千万ドルだった。国債や社債といった有価証券の米ドル換算額が増えたことによる。流動性外貨である預貯金は前年末比で730億7000万ドル減少した。
韓国の対中貿易赤字と外貨準備の減少
貿易赤字と外貨減少が続く23年12月1日、韓国銀行は日本銀行と上限100億ドル、期間3年の米ドル建て通貨スワップ協定を締結した。
通貨スワップは締結国の一方が通貨危機に陥ったとき、自国通貨を担保に相手国から融通を受けられる制度だが、日韓通貨スワップは事実上、日本が韓国を支援する一方通行の協定だ。日本は世界第2位の外貨準備があるうえ、必要に応じて必要な外貨を調達できる。
世界で最も取引が多い通貨は米ドルで、以下、ユーロ、日本円、英ポンド、中国元と続いている。日本は米ドル、ユーロ、英ポンドと無制限・無期限の通貨スワップを締結しており、中国とも2000億人民元、3.4兆円の通貨スワップを締結している。韓国から融通を受ける必要性は皆無である。
日本と韓国は2001年、チェンマイ・イニシアチブ(CMI)に基づく通貨スワップを締結した。1997年から広がったアジア通貨危機を受け、ASEAN+日中韓3か国が合意した二国間通貨スワップで、韓国が通貨危機に陥った際、日本が20億ドルを上限に支援する一方通行の通貨スワップを締結し、2006年、日本から韓国は100億ドル、韓国から日本は50億ドルを上限とする双方向スワップに切り替えた。2005年にはCMIと別枠で30億ドル相当を上限とする円-ウォン通貨スワップを締結した。
日韓通貨スワップの展開と国際関係の影響
日韓通貨スワップはリーマンショックが広がった2008年以降、最大700億ドルまで増額したが、李明博大統領の竹島上陸を機に日韓関係が悪化を辿り、円-ウォン通貨スワップは2013年7月の期限とともに終了し、CMIスワップも15年2月、延長することなく終了した。延長もやぶさかではないと述べた日本に対して、韓国は中国とのスワップがあるから必要ないと豪語した。
韓国と中国は2008年、4000億元(590億ドル相当)を上限とする元-ウォン通貨スワップを締結した。中韓関係が悪化した2017年以降、韓国は終了を危惧したが、中国は延長に同意した。韓国と中国の通貨スワップは、韓国経済が萎縮したとき韓国が中国元を調達できる協定で、韓国と取引する中国企業の代金受け取りを支援するスワップといって良い。