最新記事
スマートニュース・メディア価値観全国調査

日本の「分断」を追う10年プロジェクト始動──第1回調査で垣間見えた日米の差異

2024年1月31日(水)17時00分
山脇岳志(スマートニュース メディア研究所長)

同性婚、環境問題などで、日米で同様の傾向

では、日米比較に入りたい。まず、世界的にも大きな議論になっている「同性婚」「移民受け入れ」「環境保護」という3点を取り上げる。これらの社会問題では、いずれも、米国ではリベラル層が前向きであり、保守層を大きく上回る「賛成率」となっている。

一方、日本のSMPP調査でも、賛成率を取ると、「リベラル」「中間」「保守」の順に、きれいにグラフが右肩下がりになり、米国と同様の傾向が確認できた。ただし、その「右肩下がり具合」は、米国ほどではない。つまり、保守層とリベラル層の「断層」はみられるものの、米国に比べると、かなりマイルドである(図表7〜9)。

SMPP:山脇 ver3_7.jpg

SMPP:山脇ver4_8.jpg

SMPP:山脇 ver3_9.jpg

米国では、「民主主義が脅かされている」と感じる人が多い

次に、「政治とナショナリズム」について見てみたい。

まず、「自国はトップレベルか」「自国の歴史を誇りに思うか」の賛成率をみると、日本、米国ともに、保守層のほうが高くなっている(図表10、11)。

SMPP:山脇ver2_10.jpg

SMPP:山脇ver4_11.jpg

続いて、民主主義に関する問いをみてみよう(図表12)。日本において、「自国は民主的に統治されている」とみている人の割合をみると、保守層がリベラル層よりも高い。一方、米国の調査で、「米国の民主主義は現在、脅かされていない」とみる人の割合は、保守、リベラル、無党派とも、ほぼ同じである。

日本ではリベラル層でも、60%以上の人が「民主的に統治されている」とみているのに対して、米国では、党派を問わず、全体的に、「民主主義が脅かされている」と感じている人が非常に多いのが印象的だ。

ただ、日本の設問は「全く民主的でない」を1、「完全に民主的である」を10とした10段階評価で、6〜10と答えた人の合計を、「民主的に統治されている」に賛成している、とみなしたものだ。米側は、「アメリカの民主主義は現在、脅かされていない」と考えている人の割合なので、回答の割合を、単純に比較はできない。

日本側の回答で、8〜10と答えた人(かなり高い程度で民主的だと思っている人)に限れば、リベラル層で32%、中間層で25%、保守層で45%となり、「6〜10」の人の割合に比べて、かなり下がってくる。

SMPP:山脇12_verfinal.jpg

また、「(国や政治が)誤った方向に進んでいる」と心配している人は、日本ではリベラル層に多く、米国では保守層に多いという特徴がみられた(図表13)。これは、調査時点で、日本では、自民党政権(保守寄りの政権)、米国では民主党政権(リベラル政権)であるために、このような結果になった面が強いとみられる。

SMPP:山脇ver2_13.jpg

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-トランプ氏、ガソリン価格上昇を

ワールド

イスラエル、ハメネイ師殺害を昨年11月に決定 デモ

ワールド

ノーム米国土安保長官退任へ、後任にマリン上院議員 

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、中東懸念で安全資産に資金逃
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    「え、履いてない?」モルディブ行きの飛行機で撮影された、パイロットの「まさかの姿」にSNS爆笑
  • 3
    「ハリポタ俳優で終わりたくない」...ハリー・メリングが新作『ピリオン』で見せた「別人級」の変身
  • 4
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 5
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 6
    対イラン攻撃に巻き込まれ、湾岸諸国が存立危機
  • 7
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「旅客数が多い空港」ランキン…
  • 9
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 10
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中