最新記事
韓国

「万博招致失敗」に揺れる韓国...不利な現実に集団で目をつぶり、屈辱的な落選をした原因は...

Korea’s Expo Humiliation

2023年12月13日(水)06時45分
イ・ユンウ

BTSの力も借りたが

それでも尹政権は、韓国の財閥とKポップのアイドルを動員すれば、格上の相手を打ち負かせると信じていた。

世界的に有名な韓国ブランドの経営者たちが、世界を飛び回って(しばしば尹に同行して)政府の宣伝文句を繰り返し、尹が語る経済協力の提案に信憑性を持たせた。外国のバスやタクシーなどの公共交通機関は釜山万博の宣伝広告でラッピングされた。

さらに、釜山万博の広報大使としてKポップ・アイドルが大量に起用された。BTS(防弾少年団)は昨年10月に釜山でコンサートを開いたし、プロモーション映像にはアイドルが次々と登場する。

パリでの投票直前に披露された「最後のアピール映像」でも、BGMにPSY(サイ)の大ヒット曲「江南スタイル」が使われた。

だが、江南はソウルの高級住宅街で、海辺の街・釜山とは歴史も雰囲気も建築も全然違う。釜山の魅力を無視した招致活動は、韓国の人々が大いに不満を抱いている点の1つだ。韓国文化はKポップだけではない。

韓国では来年4月に総選挙が予定されており、有権者の不満には早急に対処する必要がある。尹に続き、国民の力の金起炫(キム・ギヒョン)代表も謝罪を表明したのにはそうした背景がある。

選挙のためとはいえ、屈辱的な万博招致の失敗が、尹政権の姿勢に変化をもたらすきっかけとなるのは良いことだ。政府内には、前政権が招致活動に早くから取り組まなかったのが敗因だとか、サウジアラビアのオイルマネーの前では敗北もやむなしという声も多い。しかし、そんな後付けの言い訳はやめるべきだ。

韓国政府は、今こそ古い習慣を捨てて、尹の残りの任期に気を引き締めるべきだ。

From thediplomat.com

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米11月中古住宅販売、0.5%増の413万戸 高金

ワールド

プーチン氏、和平に向けた譲歩否定 「ボールは欧州と

ビジネス

FRB、追加利下げ「緊急性なし」 これまでの緩和で

ワールド

ガザ飢きんは解消も、支援停止なら来春に再び危機=国
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中