世界に波及するガザ情勢、問われる国家と人間の品格
「観点」と「視点」という言葉はどちらも物事を見る立場を意味しているが、本来の意味は少し違う。その違いを分かりやすく言うと、観点は「考え方」であり、視点は「見方」である。
中東アラブ地域、ひいてはパレスチナ情勢を報じる日本のメディアが使用するさまざまな言葉には、「視点的要素」よりも「観点的要素」の方がはるかに大きい。この問題の扱いに関する日本のメディア人には、品格を問う意識があるのだろうか。
ハマスによるイスラエル攻撃をめぐり、欧米政府が中心となってイスラエルへの強い支持と同情を表明した一方、その後のガザ地区への無慈悲な報復は欧米諸国を含む世界中の人々の怒りを呼んでいる。結果として、今や圧倒的にパレスチナ支持の勢いのほうが強く、連帯を叫ぶ声は大きくなるばかりだ。その原動力となるのは、人間としての品格だと言えよう。
いま私たちが目の当たりにしているのは、国家と市民の品格がぶつかり合う光景だ。日本でも政府による公式対応と国民の受け止め方との間にギャップが広がりつつある。
信憑性に欠けるイスラエルの主張
パレスチナ情勢への視点や関わり方で品格が問われる場面は他にも多くある。その一つが、ガザ地区北部にあるアルシファ病院へのイスラエルの空爆とその理由である。
アルシファ病院内にハマスの軍事拠点が存在することについて、イスラエル側の説明が矛盾している。イスラエル軍はアルシファ病院への突入後、院内を説明するヨナタン・コンリクス報道官の動画を削除し、新たに編集された動画を公開した。これを受けて、病院内にハマスの拠点が存在するというイスラエル側の主張の信憑性について疑問が生じている。
イスラエル軍にとって、アルシファ病院に突入することはすなわち、カッサム旅団(ハマスの軍事部門)の指揮統制センターに到達することを意味するようだった。イスラエル軍の報道官は病院内部の地図を見せながら、ハマスの軍事拠点の存在を証明していると懸命に説明していた。
ところが、イスラエルは1980年代にアルシファ病院を改修したとき、そこに地下室を建設していたことが判明した。そのため、そもそもイスラエルは最初からアルシファ病院で重大なことを発見する必要はなかった。イスラエルの技術者によって作成された設計図さえあれば、地下のトンネルを軍事施設の重大な発見かのように見せかけるのに十分だったのである。
軍報道官は先月15日、BBCと米FOXニュースの記者に同行を許可して病院内部を案内した。BBCのルーシー・ウィリアムソン記者はリポートで、「イスラエル軍は取材班の移動する場所と時間を制限していて、病院の医療スタッフや患者に話を聞くことができなかった」としている。
イスラエルは世界の大手ニュースメディアに病院取材を許可したが、結果的には倫理と品格の低さを世界に向けて露呈させることとなった。これも国家の品格と人間の品格がぶつかり合うのを目の当たりにした瞬間だった。
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