「開き直り」ネタニヤフは、なぜ一時休戦を受け入れたのか?...「犬猿の仲」バイデンと「仲直りハグ」した裏事情
What Happens Now?
再選を目指すバイデンの足元も揺らぐ。特に激戦州のミシガンではイスラム系の有権者が増えていて、バイデンへの風当たりが強まっている。
ネタニヤフも国内では針のむしろに座らされている。長い政治家人生で支持率は最低水準にあり、10月7日のハマスによる越境攻撃を許したのは政府の責任だと追及される一方、その責任を軍や情報部のトップになすり付けようとする姿勢にも強い批判がある。
この戦争が終わればネタニヤフは退陣に追いやられるというのが大方の見方だ。
しかしネタニヤフ自身は、人質解放の実現で支持率を回復できると信じているのかもしれない。人質の解放を求める声は非常に大きい。だが10月7日からの7週間で解放された人質は4人のみ(編集部注:11月24日にイスラエル人を含む24人が解放された)。
地上侵攻した特殊部隊の活動で救出できたのは女性イスラエル兵1人だけだ。この膠着状態を打破するには別なアプローチが必要だった。
アメリカ政府高官は11月21日の記者会見で、開戦直後にカタール政府からバイデン政権に対し、人質解放に向けた交渉を仲介するとの申し出があったことを明らかにした。バイデンは直ちに政権内で専任の交渉班を立ち上げた。そして選ばれたスタッフがイスラエルやエジプト、カタールの関係者と接触を始めた。
この高官によれば、バイデン自身も毎日、時には長時間の協議に参加した。重大局面ではウィリアム・バーンズCIA長官が相手国の情報機関の長官と詳細を詰めた。
21日夜、ネタニヤフは仲介国の提案を受け入れると表明する一方、全ての人質が解放されれば戦闘を再開する、ハマス壊滅という目標に変わりはないと断言してみせた。
和解を実現する難しさ
しかしバイデン自身は一貫して、イスラエルとパレスチナの紛争を終わらせるのは武力ではなく外交努力だと主張し、ユダヤ人とアラブ人がパレスチナの地を共有あるいは分割する案を支持してきた。今回の一時的な休戦が「2国家共存」の道につながることを期待する向きもある。
この先はどうなるのか。希望を持ちたいが、慎重にならざるを得ない事情もある。
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