最新記事
世界経済

「コーヒー版OPEC」とは?...先進国3社の搾取からコーヒー生産国を守る唯一の道について

TIME FOR A COFFEE CARTEL?

2023年11月6日(月)14時35分
グン・リー(ソウル大学特別名誉教授〔経済学〕)

問題は、消費者市場参入の壁が非常に高いこと。しかもブランド立ち上げにはかなりのリソースを費やす上に、それなりのリスクを覚悟する必要がある。

企業がこうした問題を回避するには既存のブランドを買収するのも手だろうが、選択肢はもう1つある。OPEC(石油輸出国機構)のコーヒー版のような「カルテル」を設立することだ。

そうすれば先進諸国に対して、価格と関税の交渉力も高められる。斬新すぎる策に思えるかもしれないが、途上国・新興国の生産国上位10カ国がコーヒー市場の90%近くを占めていることを考えれば、成功する可能性はある。

そのためにはまず、小規模なコーヒー企業の合併・買収を進め、統合しなくてはならないだろう。大企業となって公的な研究機関と手を組めば、品質を向上させ、商品の付加価値を上げられる可能性もある。

もちろん、世界のコーヒー市場の格差是正に取り組むためには、国連やG20といった場もある。だが、途上国・新興国がコーヒーの利益率を上げようとしても先進国に阻まれている限り、自力で何とか問題を解決するしかない。関税に助成金、敵対的買収、そしてコーヒーカルテルも含めて、あらゆる選択肢を検討するべきだ。

©Project Syndicate


231114P15NW_Keun-Lee.jpgグン・リー
KEUN LEE
韓国・大統領国家経済諮問委員会副会長。ソウル大学特別名誉教授(経済学)。国連開発政策委員会メンバーやソウル大学国際大学院教授などを経て現職。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米債市場の動き、FRBが利下げすべきとのシグナル=

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税コストで

ビジネス

米3月建設支出、0.5%減 ローン金利高騰や関税が

ワールド

ウォルツ米大統領補佐官が辞任へ=関係筋
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 7
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中