最新記事
宇宙開発

中国「神舟16」が帰還に成功...しかし着陸用パラシュートに「穴」が空いている冷や冷やハプニングが

China's astronauts return safely to Earth with torn parachute—video

2023年11月3日(金)14時31分
アーディル・ブラール
中国有人宇宙船「神舟16号」の打ち上げの様子

5月30日に打ち上げられた中国有人宇宙船「神舟16号」 China Daily via REUTERS

<急速に宇宙開発を発展させる中国だが、「神舟16号」の帰還時にはパラシュートが破れている様子が映像に収められていた>

有人宇宙船「神舟16号」のカプセル(帰還モジュール)が10月31日、内モンゴル自治区の東風着陸場に帰還。中国の宇宙開発技術を世界に示すこととなったが、実はこの着陸時には宇宙飛行士たちと研究成果を乗せたカプセルのパラシュートが破れており、「穴」がはっきり見て取れるほどの状態だったことがSNSで話題となっている。

■【動画】危うく大事故? 地表に落下していくカプセルのパラシュートをよく見ると「穴」が

着陸の様子を撮影した動画には、着陸時にパラシュートの一部が破れ、カプセルが揺れる様子が映っている。中国の国営メディアが共有したこの動画からは、着陸前にカプセルから白い煙が立ち上る様子も見て取れる。とはいえ、そんなハプニングがあっても着陸は無事に成功し、3人の宇宙飛行士の健康状態も良好だと発表されている。

「神舟」は中国語で「(天の川を駆ける)神の舟」を意味し、宇宙飛行士は「太空(中国語で宇宙の意味)飛行士」とも呼ばれる。中国国営の新華社通信は、神舟16号のミッションについて「中国独自の宇宙ステーションの応用・発展段階で初の有人飛行任務」だと報じている。

今回のミッションに先立ち、2022年11月29日には「神舟15号」が中国北西部の酒泉衛星発射センターから打ち上げられ、2023年6月3日に内モンゴル自治区の今回とほぼ同じエリアに帰還していた。

急速に発展・拡大を続ける中国の宇宙開発プログラム

一連のミッションからは、中国の宇宙開発プログラムが急速に発展を遂げていることが伺える。2021年の「神舟12号」以降、宇宙飛行士たちは宇宙で90~180日間の長期滞在が可能になっている。これ以前は、中国の「太空飛行士」たちが1回のミッションにつき宇宙に滞在した期間は4~10日程度だった。

以前よりも長期間かつ複雑なミッションを実行できるようになったことに伴い、中国は2021年に地球低軌道を周回する独自の宇宙ステーション「天宮」の建設(モジュールの打ち上げ)を開始した。

10月23日には酒泉衛星発射センターから「神舟17号」が打ち上げられ、6時間半足らずで「天宮」に到着した。3人の乗組員のうち湯洪波は、前回のミッションから2年を置かずに再び宇宙に戻る初めての宇宙飛行士となった。中国は宇宙飛行士の訓練も急ピッチで進めており、残る2人の唐勝傑(33)と江新林(35)は中国史上最年少の宇宙飛行士となった。中国の宇宙飛行士の平均年齢は40歳を超えている。

東京アメリカンクラブ
一夜限りのきらめく晩餐会──東京アメリカンクラブで過ごす、贅沢と支援の夜
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、アラスカで3者会談にオープン ウクライ

ビジネス

米、エヌビディアに中国向け「H20」輸出許可付与=

ワールド

欧州、ウクライナの利益守る必要性強調 米ロ会談控え

ワールド

アラスカにゼレンスキー氏招待も、米が検討=報道
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 2
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段の前に立つ女性が取った「驚きの行動」にSNSでは称賛の嵐
  • 3
    輸入医薬品に250%関税――狙いは薬価「引き下げ」と中印のジェネリック潰し
  • 4
    伝説的バンドKISSのジーン・シモンズ...75歳の彼の意…
  • 5
    なぜ「あなたの筋トレ」は伸び悩んでいるのか?...筋…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 7
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 8
    60代、70代でも性欲は衰えない!高齢者の性行為が長…
  • 9
    メーガン妃の「盗作疑惑」...「1点」と語ったパメラ・…
  • 10
    「靴を脱いでください」と言われ続けて100億足...ア…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 8
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 10
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中