最新記事
ロシア

プーチンが、習近平との会談に持ち込んでいた「核のカバン」を撮影...これが核戦争の幕を開ける「チェゲト」だ

Putin Nuclear Briefcase Spotted in China Video

2023年10月22日(日)13時00分
ケイトリン・ルイス
ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席

ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席(10月18日) Suo Takekuma/Pool via REUTERS

<核兵器の発射命令をロシアの参謀本部に伝えるための装置が入っているとされるブリーフケース「チェゲト」が中国で撮影された>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が10月18日に中国・北京を訪問した際、いわゆる「核のカバン」と呼ばれるブリーフケースを、同行した海軍将校が運ぶ姿が映像に捉えられた。このカバンには「核攻撃の命令」を送信するため装置が入っているとされる。

■【映像】習近平との会談を終えたプーチンに付き従う海軍将校の手に「核のカバン」チェゲトが

ウクライナのキエフ・ポスト紙がX(旧Twitter)に投稿した動画には、中国の習近平国家主席との会談後、警護官に囲まれて歩くプーチンの後を、ブリーフケースを持ったロシア海軍将校2人が歩いていく様子が捉えられている。映像の最後には、「チェゲト」と呼ばれる核のボタンがズームアップされ、将校らが通り過ぎていく。

この動画は、ロシア国営通信社のRIAノーボスチがメッセージアプリのTelegramでメディア向けに公開したもので、「プーチンの移動には欠かせないカバンがある」と書かれている。

ロシアのカフカス地方の山にちなんで名づけられたチェゲトは、伝統的に海軍将校が携行し、常にプーチンのそばに置かれている。アメリカの核のボタンが、ジョー・バイデン大統領と共に移動するのと同じだ。

チェゲトについてはあまり知られておらず、詳細は不明だが、その中に実際の核兵器発射ボタンが入っているわけではなく、核兵器の発射命令をロシアの参謀本部に伝えるものだとされる。

ロシアはCTBT撤回へ、米の「無責任な態度」非難

今回の映像が撮影された18日、ロシアの下院は包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を撤回する法案を全会一致で可決した。1996年に国連総会で採択されたこの条約は、核実験を含むあらゆる核爆発を禁じている。

クレムリンは以前、アメリカが核実験をしない限り、核実験は再開しないと述べている。アメリカはCTBTに批准していないが、条約は遵守している。

昨年にウクライナでの戦争が始まって以来、米ロ間の緊張は高まっており、プーチンが全面的な侵攻を進めるために、世界で最も多く保有する核兵器を使用するのではないかという懸念が強くなっている。プーチンは先日、核兵器に頼るのは、他国が先に核攻撃を開始した場合か、ロシアの領土が脅かされた場合の報復措置に限られると述べた。

ロシアのビャチェスラフ・ウォロジン下院議長は17日、アメリカが今なおCTBTに批准していないことを指摘し、世界の安全保障に対するアメリカの「無責任な態度」のため、ロシアは同条約から離脱すると述べた。

「わが国の安全保障のため、CTBTの批准を撤回する」「ロシアは自国民を守り、世界的な戦略的均衡を維持するために総力を挙げる」とウォロジンはTelegramに投稿。「23年間、我々はアメリカがこの条約を批准するのを待っていた」と述べた。


ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


食と健康
消費者も販売員も健康に...「安全で美味しい」冷凍食品を届け続けて半世紀、その歩みと「オンリーワンの強み」
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪経済見通し、現時点でバランス取れている=中銀総裁

ワールド

原油先物横ばい、前日の上昇維持 ロシア製油所攻撃受

ワールド

クックFRB理事の解任認めず、米控訴裁が地裁判断支

ワールド

スウェーデン防衛費、対GDP比2.8%に拡大へ 2
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中