最新記事
ウクライナ戦争

従来の軍用機には、なす術なし...露軍ヘリとジェット機が、どうしてもドローンを撃墜できない様子を撮影

Video Shows Two Russian Attack Helicopters Repeatedly Failing To Down Drone

2023年9月9日(土)12時41分
ブレンダン・コール
ウクライナ軍のドローン

ドローンの操縦訓練を行うウクライナ兵士(2023年5月) Sofiia Gatilova-Reuters

<ウクライナ側が公開した映像には、ロシアの航空機とウクライナのドローンの珍しい「直接対決」シーンが収められていた>

ロシアの軍用ヘリとジェット機が、ウクライナのドローンと対峙したものの、撃墜に失敗した様子だという映像を、ウクライナ国防省が公開した。今回の戦争では、従来の高性能な兵器を相手に安価なドローンが大きな戦果をあげていると報じられているが、今回の動画でもそうした「現代の戦争」の現実が改めて示されたようだ。

■【動画】ヘリ2機、ジェット機1機と、ドローンの「直接対決」...どうしても撃墜できないシーン

ウクライナ国防省情報総局のテレグラムへの投稿によれば、映像に映っているのは、クリミア半島のタルクハンクト岬上空を飛行していたドローンを、ロシアのヘリコプター2機とジェット機1機が撃墜しようとして失敗した様子だという。

「情報総局のUAV(無人航空機)は、ラシスト(ロシア人の蔑称)の航空機と対峙した際だけでなく、敵機と直接戦闘を交えた後でも無傷であることが増えている」と同局は述べた。

この15秒の映像については、ドローンは「戦闘ヘリコプター2機と航空機1機に追われている」とし、攻撃が続く中、「我々のドローンは無傷で『戦場』を離れ、基地に無事帰還した」と説明した。

ウクライナは、映像に映っているドローンの種類は特定しなかったが、プロペラのついた固定翼のドローンのように見える。どのくらい追跡されたのか、また日時の詳細は明らかにされていない。ニューズウィークはこの映像を独自に検証できず、ロシア国防省にコメントを求めている。

ウクライナ内務省のアントン・ゲラシチェンコ顧問がこの映像をX(旧Twitter)に投稿すると、ユーザーから活発に意見が寄せられた。

「こんなことが可能なのか? ヘリコプターは諦めたのか? 撃墜する時間は十分にあったように思える」とあるユーザーはコメントした。

これに対して別のユーザーは、ヘリコプターの機銃は機体より高い高度にある物体を撃つようには設計されておらず、「上昇するドローンを攻撃するのは困難、あるいは不可能だ」と指摘した。

ロシアに開戦以来最大のドローン攻撃

ウクライナでの戦争において、ドローンは重要な役割を担っているが、従来の航空機と直接対戦する様子が確認されるのは珍しい。

8月30日には、ロシアとクリミアが戦争開始以来最大のドローン攻撃を受け、プスコフ、モスクワ、ブリャンスク、オリョール、カルーガ、リャザンといった地域も標的となった。

ウクライナ国防省情報総局のキリロ・ブダノフ局長は、オンラインメディア「ウォー・ゾーン」に対し、プスコフでロシア軍機少なくとも4機に損害を与えたドローンは、ロシア国内から発射されたと語った。

一方、ロシア・ベルゴロド州のヴャチェスラフ・グラドコフ知事は9月1日、空中標的2機が撃墜されたと述べた。死傷者や被害は出なかったという。これに先立ち、ロシア国防省は、同州上空でウクライナのドローンを地元防空当局が破壊したと主張していた。


経営
「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑むウェルビーイング経営
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国で「南京大虐殺」の追悼式典、習主席は出席せず

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット

ビジネス

アングル:トランプ関税が生んだ新潮流、中国企業がベ

ワールド

アングル:米国などからトップ研究者誘致へ、カナダが
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ」が物議...SNSで賛否続出
  • 3
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 4
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 7
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 8
    高市首相の「台湾有事」発言、経済への本当の影響度.…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中