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「スナイパー」の切れ味という主力戦車チャレンジャー2、実戦投入と同時にやられた?

Ukrainian Soldier Says Challenger 2 Tanks Like a 'Sniper Rifle'

2023年9月6日(水)18時25分
エリー・クック

イギリスでチャレンジャー2の訓練中のウクライナ兵士(2月22日、ウール) REUTERS/Toby Melville

<強力な戦車と噂のイギリス製チャレンジャー2、ウクライナに到着してしばらく姿を見かけなかったが、最近ロボディネ村の攻防戦に表れたと報道が>

ロシア軍、歴史ある「戦場の神」の火が消える危機

イギリスからウクライナに供与され、いよいよ前線に出た戦車「チャレンジャー2」を、ある兵士は「狙撃銃のような存在だ」と称賛した。だが一方で、ロシアの攻撃の犠牲になった初のチャレンジャー2とみられる動画も浮上している。

「戦車は、とてつもない力になる。とくにこのような戦車ならなおさらだ」。ウクライナの戦車兵は、ウクライナ国防省が9月3日にSNSに投稿した動画の中でそう話す。

「こんな戦車なら、見る人は誰もが『おお、あれは何だ?』と思うはずだ」「ウクライナにももっとたくさん配備されれば素晴らしいのに」

チャレンジャー2の14両は2023年1月、西側が初めてウクライナに供与すると約束した主力戦車(MBT)になった。これが呼び水となり、西側の他の支援国も、ドイツのレオパルト2やアメリカ陸軍のエイブラムスなどを供与した。

重量70トン弱と重装備のチャレンジャー2は3月末、戦火に引き裂かれたウクライナに到着した。

だがチャレンジャー2は、ドイツ製のレオパルト2に比べると数が限られていたため、なかなか前線には配備されなかった。とくに南部の激戦地では、ロシア軍が対戦車の塹壕や「竜の歯」と呼ばれる障害物を作って激しく抵抗している。

だが8月半ば、ウクライナ空中機動軍(空挺軍)に属する第82旅団が南部ザポリージャ州のロボティネ村の攻防戦に参戦したときは、チャレンジャー2が一緒に投入されたという報道が浮上した。

奪還したはずの村で?

9月4日にはロシア国防省が、ロボティネとその付近のヴェルボヴェ村の周辺で、ウクライナ第82旅団からの「反撃を撃退した」と発表。9月5日には、初めて戦闘の犠牲になったとみられるチャンレンジャー2の映像がネット上に拡散した。ウクライナ政府側の発表によれば8月末には奪還したはずのロボティネ付近の映像とみられる。

それでも、ウクライナ政府が投稿した動画の中で話をしているチャレンジャー2の操縦士は、この戦車を褒めたたえる。「この戦車の強みは、射程が長く、とても正確なところだ」と、先ほどのウクライナ軍兵士は述べ、チャンレンジャーは「長距離攻撃で力を発揮するよう作られたマシンだ」と付け加えた。

ウクライナが保有するチャレンジャー2のうち残りの13両は今も激戦が続くザポリージャ州の、ウクライナ側がロシアの第1防衛線を突破したと発表した地域で稼働していると考えられている。

(翻訳:ガリレオ)

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