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エセ科学に頼って命を落とすロシア富豪が続出、ウクライナ戦争の緊張と不安の犠牲か

Russian Elites Keep Getting Themselves Killed With Alternative Medicine

2023年7月25日(火)19時17分
イザベル・ファン・ブリューゲン

ほかにも、トップクラスの実業家が複数人、奇妙な状況下で亡くなっている。死亡者の中には、ロシアの石油会社ルクオイルの元幹部で億万長者のアレクサンドル・スボーチンの名前もある。スボーチンは2022年5月、モスクワから北東12マイル(約19キロ)にある街、ムィティシにあるシャーマン(呪術師)の家で、遺体で発見された。

スボーチンの死因は心臓まひで、代替医療の治療を受けたのちに亡くなったと報じられている。ある情報筋は、ロシア国営タス通信に対して、スボーチンは死の1日前、重度のアルコールおよび薬物中毒状態で、シャーマンの家に転がり込んだようだと語った。

スボーチンの遺体は地下室の、ブードゥー教(ジャマイカの民間信仰)の儀式に使われていた部屋で見つかったと、タス通信は報じている。一部の地元報道機関は、スボーチンはヒキガエルの毒で二日酔いを治してもらうためにシャーマンを訪問したと伝えたが、裏付けは取れていない。

神秘主義に逃避

オンラインショップ「ズベルマーケット」の創業者であるロシア人実業家、ドミトリー・ズーリンは、免疫促進効果があると言われるヒト胎盤抽出物を自らに投与したのち病院に運ばれたと、ロシアのテレグラム・チャンネル「112」と「バザ」が伝えている。

ロシアの日刊紙コメルサントは2023年に入り、ロシアのメディアでは神秘主義に関連するトピックの需要が高まっていると伝えた。プーチンがウクライナへの本格侵攻を開始した2022年以来、こうしたコンテンツの人気は高まる一方だという。「現実逃避の手段だ」と、ある情報筋はコメルサントに語った。

プーチン自身も、疑似科学やオカルトに関心があると伝えられている。調査報道ジャーナリストたちは2022年4月、プーチンは各地を訪問する際に複数の医師を帯同させていると伝えた。代替医療にも関心があり、鹿の角から採取した「鹿の血」の風呂に入っているとも報じられている。

(翻訳:ガリレオ)

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