最新記事
ハリウッド

「金儲け」と批判殺到...出演者は全員欠席、それでも決行の映画『ホーンテッドマンション』プレミアに投入されたのは?

2023年7月18日(火)21時30分
千歳香奈子
アナハイムのディズニーランド

プレミアが開催されたアナハイムのディズニーランド(写真は2019年4月24日に撮影) The Image Party-Shutterstock

<全米俳優組合(SAG-AFTRA)、全米脚本家組合(WGA)がスト入りしている中、組合員ではないキャストを利用してプレミアを決行したディズニーに対して非難の声が上がっている>

【動画】ストで欠席の出演者に代わってプレミアに投入されたミッキー、ミニーら

ディズニーパークの人気アトラクションを実写映画化した『ホーンテッドマンション』(9月1日公開)のワールドプレミアが、7月15日に米アナハイムのディズニーランドで開催され、レッドカーペットにミッキーマウスやミニーマウスらディズニーの人気キャラクターたちが登場するも、出演者は誰一人として姿を見せない前代未聞の珍事が起きた。

 
 
 
 

全米俳優組合(SAG-AFTRA)が7月14日からストライキ入りしたことによる影響で、ラキース・スタンフィールド、ロザリオ・ドーソン、ジェイミー・リー・カーティス、オーウェン・ウィルソンら出演者が全員欠席。その代役を務めたのが、ディズニーの人気キャラクターたちだった。

「金儲け」と非難の声

今年10月に創立100周年を迎えるウォルト・ディズニー・カンパニーは、記念すべき『ホーンテッドマンション』のプレミアを支障なく行い、主役抜きでのレッドカーペットを盛り上げるための苦肉の策として自社の人気キャラクターを投入。作品をイメージしたパープルカラーでコウモリをあしらわせた衣装を身にまとったミッキーとミニーに加え、『眠れる森の美女』に登場するマレフィセントや『白雪姫』の魔女、『101匹わんちゃん』でおなじみのクルエラ・ド・ビルらヴィラン(悪役)も駆け付け、華を添えた。

大手スタジオの映画としてはスト入り後初となった注目のプレミアが予定通り行われたことに、ネットでは「恥を知れ」「中止すべきだった」と批判が殺到。俳優に加えて全米脚本家組合(WGA)もスト入りしている中でディズニーが組合員ではないキャストメンバーを利用して決行したことに、「金儲け」だと非難の声が上がっている。

スト長期化の可能性も

ユニバーサルは17日に予定していたクリストファー・ノーラン監督の新作『オッペンハイマー』のニューヨークプレミアを中止し、パラマウントもゾーイ・サルダナ主演でニコール・キッドマンやモーガン・フリーマンが出演するドラマ『Special Ops: Lioness(原題)』のプレミアを行わないことを決めている。

ハリウッド最大の16万人が加入するSAG-AFTRAは、ディズニーやネットフリックス、アマゾンなど大手制作会社に対し、ストリーミングが台頭する中での公正な利益の分配や労働条件の改善、人工知能(AI)に仕事を奪われないための規制などを求めている。

ジョージ・クルーニーをはじめ、マーク・ハミルやジェシカ・チャステインら大物も43年ぶりとなるストを支持する声明を出しており、長期化する可能性も取り沙汰されている。

[筆者]
千歳香奈子
北海道・札幌市出身。1992年に渡米し、カリフォルニア州サンタモニカ大学で写真を学ぶ。96年アトランタ五輪の取材アシスタントとして日刊スポーツ新聞社アトランタ支局に勤務。ロサンゼルス支局、東京本社勤務を経て99年よりロサンゼルスを拠点にハリウッドスターら著名人へのインタビューや映画、エンターテイメント情報等を取材、執筆している。日刊スポーツ新聞のサイトにてハリウッド情報や西海岸のトレンドを発信するコラムも寄稿中。著書に『ハリウッド・セレブ』(学研新書)。

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


東京アメリカンクラブ
一夜だけ、会員制クラブの扉が開いた──東京アメリカンクラブ「バンケットショーケース」で出会う、理想のパーティー
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、足元マイナス圏 注目イベ

ワールド

トランプ氏、ABCの免許取り消し要求 エプスタイン

ビジネス

9月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比4.

ビジネス

MSとエヌビディア、アンソロピックに最大計150億
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中