最新記事

スバウキ回廊

<注目マップ>ワグネル部隊がベラルーシから隣国ポーランドに潜入する準備に入った?

Poland Sounds Alarm as Putin Allies Suggest Wagner Will Invade NATO Country

2023年7月31日(月)23時34分
アンドリュー・スタントン

「プリゴジンとワグネル部隊のベラルーシ到着は、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領がベラルーシ国民の利益と希望に反して、ロシアに更なる支配と意思決定を譲り渡したことを示している」と、米国務省は述べた。「われわは、ワグネル部隊が展開する国々の利益に反する行動をとるかどうかを注視し、ワグネルに責任ある行動をとらせるための取り組みを継続する」

一方、ロシア国営テレビ『60ミニッツ』の司会者オルガ・スカベーワも最近の番組で、ワグネルがポーランドを攻撃する可能性を示唆した。

「親欧米の監視グループは、ワグネルの第12次輸送隊がすでにベラルーシに到着したと報告している。彼らによると、新しい車列には、装甲車、バス、トラック、ピックアップトラック、ガソリンタンクローリー、さらには掘削機など、少なくとも50台の車両が含まれている。掘削機は、おそらく、ポーランドがベラルーシとの国境に建設したフェンスを取り壊すために必要となるのだろう」と、彼女は言った。

モラウィエツキが今回のような警告を発する数週間前から、ロシアとの緊張は高まっていた。ワグネルの部隊の存在が地域を不安定にする可能性があるという懸念の中で、ポーランドは7月になって少なくとも1000人の部隊をベラルーシとの国境に移動させた。

根拠のないポーランド批判

一方、ロシアのプーチン大統領は、ポーランドの懸念に対して、ポーランドは「歴史的な土地」とされるものを支配したいようだと根拠もなく述べた。さらに、ポーランドは「ウクライナのかなりの部分」を奪いたがっており、「ベラルーシの領土を夢見ている」とも述べた、とアメリカの政治ニュースサイト「ポリティコ」は報じている。

プーチンの重要な盟友で、ワグネルの反乱を中止させるためにワグネル創設者のエフゲニー・プリゴジンとの取引を仲介したルカシェンコ大統領は、7月23日にワグネルはポーランドへの進軍を望んでいると述べた。

「ワグネルの存在が、少々重荷になりはじめている。彼らは西に行きたいと言っている」と、ルカシェンコは23日、プーチンとの会談で語った。ワグネルがめざしているのは、隣国ポーランドの首都ワルシャワと重要な軍事拠点である南東部のジェシュフだという。


20240514issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月14日号(5月8日発売)は「岸田のホンネ」特集。金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口……岸田文雄首相が本誌単独取材で語った「転換点の日本」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

Tモバイルとベライゾン、USセルラーの一部事業買収

ワールド

習氏がハンガリー首相と会談、さらなる緊密化アピール

ワールド

米中関係、この1年で明らかに改善=イエレン米財務長

ビジネス

米国株式市場=ダウ7日続伸、米指標受け利下げ観測高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 2

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽しく疲れをとる方法

  • 3

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 4

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 5

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    自民党の裏金問題に踏み込めないのも納得...日本が「…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中