最新記事
ウクライナ情勢

プーチン、弱気になった? ロシア軍によるウクライナ首都占領の是非を自問自答「追加動員は不要」

2023年6月14日(水)10時39分
ロイター
ロシアのプーチン大統領

ロシアのプーチン大統領は13日、ウクライナ戦争における追加動員について「現時点でそのような必要はない」と述べた。2022年4月撮影。提供写真(2023年 ロイター/Sputnik/Mikhail Klimentyev/Kremlin via REUTERS)

ロシアのプーチン大統領は13日、ウクライナ戦争における追加動員について「現時点でそのような必要はない」と述べた。また、ロシアは再びウクライナの首都キーウ(キエフ)占領を試みるべきかという自分だけが答えられる問題に直面していると述べた。

プーチン氏は「戦争」という言葉を何度も用いて西側諸国に警告を発し、ウクライナがロシアを攻撃するのを防ぐため「緩衝地帯」を設ける必要があるかも知れないとした。黒海経由の穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)からの離脱を検討していることも明らかにした。

また、米側も多くは第三次世界大戦を望んでいないとしながらも、米政府は事態の悪化を恐れていないという印象を与えていると指摘した。

プーチン氏が行った発言の中で最も不可解だったものは、キーウを巡るものだった。昨年2月24日の侵攻開始後すぐにロシア軍はキーウ占領を試みたものの、失敗した経緯がある。

プーチン氏はロシア大統領府で、18人の戦場記者やブロガーを前に「キーウに戻るべきか、戻らざるべきか。なぜ私はそうした修辞的質問をしているのだろうか」と問いかけ、「これに答えられるのは私自身だけだ」とした。

キーウに関するプーチン氏のコメントはロシア国営テレビで放映された。

テレビ会議では、国防省は新たな追加動員の必要はないとみていると指摘。一部では100万─200万人の動員が必要との声も上がっているが、「それはわれわれが何を望むかによる」とし、ウクライナの首都キーウに対する攻撃に「戻るべきなのか」と疑問を投げかけた。

また、ロシアは敵軍の工作員に対応し、自国領土奥深くへの攻撃に対する防衛手段を改善する必要はあるが、ウクライナに倣って戒厳令を発令する必要はないと述べた。

テレビ会議で、ロシアに「ある種の特別体制や戒厳令を導入する理由はない。現時点でそのようなものは必要ない」とした。

さらに、ウクライナの反攻は6月4日に始まったが、どの地域でも成功しておらず、ウクライナの人的被害はロシアの10倍と指摘。ウクライナは160両以上の戦車と海外から供給された軍事車両の25─30%を失った一方、ロシアが失った戦車は54両とした。

ロイターはプーチン氏の主張を独自に確認できていない。

プーチン氏はこのほか、ウクライナは米国から供給された高機動ロケット砲システム「ハイマース」を使用して意図的にカホフカダムを攻撃し、これがウクライナの反攻の妨げにもなっているとした。

ウクライナにおける「特別軍事作戦」の目標は状況に応じて変化するかもしれないが、その基本的な性質は変わらないとした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

原油先物が小幅安、市場は対ロ制裁や関税を引き続き注

ワールド

米、メキシコ産トマトの大半に約17%関税 合意離脱

ワールド

米、輸入ドローン・ポリシリコン巡る安保調査開始=商

ワールド

事故調査まだ終わらずとエアインディアCEO、報告書
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 10
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中