最新記事
大統領選挙

ほぼあらゆる国の大統領選挙は大接戦...本当にいいことか? 有権者が大きく二分される理由とは

NO CLEAR MANDATES

2023年6月8日(木)13時00分
ダン・ペリー(戦略コミュニケーション会社「サンダー11」のマネージングパートナー)

230613p26_SKY_02.jpg

昨年のブラジル大統領選に臨んだルラ(左)とボルソナロ MARIANA GREIFーREUTERS

選挙結果が僅差に終わると、選挙の勝者は真の強力な正統性を獲得できない。そのような状況が政治の不安定を生みやすいことは明らかだ。

では、どうして有権者は選挙で大きく二分されるのか。いくつかの可能性が思い浮かぶ。

まず、選挙の候補者や政党は、勝利が確実だと思うと、無意識のうちに選挙運動の手を緩めてしまい、その結果として最終的な選挙結果が僅差になるのではないか──。あり得ないとまでは言わないが、現実はそんなに単純ではないだろう。

それでは、多くの有権者が今日の複雑な政治的争点を理解できず、半ば当てずっぽうで投票した結果、有権者全体で見ると得票率がほぼ半々に収束するのか。実際、そのようなケースもありそうだ。特に、国民投票の類いではそのようなパターンも多いかもしれない。

しかし、私は最も厄介な説明に最も説得力を感じる。人々に何か重大な選択を促すと、理由は定かでないが、人間の性質の中でも、理解と憎悪、楽観主義と悲観主義、知恵と愚かさ、そして善と悪など、一人一人の内面で両極端な傾向が激しくせめぎ合う部分が表面に出やすいのではないか。

つまり、問題の根源は、人間の善良な部分と邪悪な部分の終わりなき戦いにあるのかもしれない。この戦いは、人類の歴史と同じくらい古く、人類が紡いできた物語のほぼ全てで見られるものなのだ。

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、イラン産石油「影の船団」に制裁発動

ビジネス

最新のインフレ指標は良好、持続的改善が必要=米シカ

ワールド

ウクライナ巡る協議「何かに近づいている」とトランプ

ビジネス

ECB総裁、ウクライナ向け「賠償ローン」でEUの合
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 2
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 9
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 10
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中