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大統領選挙

ほぼあらゆる国の大統領選挙は大接戦...本当にいいことか? 有権者が大きく二分される理由とは

NO CLEAR MANDATES

2023年6月8日(木)13時00分
ダン・ペリー(戦略コミュニケーション会社「サンダー11」のマネージングパートナー)

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昨年のブラジル大統領選に臨んだルラ(左)とボルソナロ MARIANA GREIFーREUTERS

選挙結果が僅差に終わると、選挙の勝者は真の強力な正統性を獲得できない。そのような状況が政治の不安定を生みやすいことは明らかだ。

では、どうして有権者は選挙で大きく二分されるのか。いくつかの可能性が思い浮かぶ。

まず、選挙の候補者や政党は、勝利が確実だと思うと、無意識のうちに選挙運動の手を緩めてしまい、その結果として最終的な選挙結果が僅差になるのではないか──。あり得ないとまでは言わないが、現実はそんなに単純ではないだろう。

それでは、多くの有権者が今日の複雑な政治的争点を理解できず、半ば当てずっぽうで投票した結果、有権者全体で見ると得票率がほぼ半々に収束するのか。実際、そのようなケースもありそうだ。特に、国民投票の類いではそのようなパターンも多いかもしれない。

しかし、私は最も厄介な説明に最も説得力を感じる。人々に何か重大な選択を促すと、理由は定かでないが、人間の性質の中でも、理解と憎悪、楽観主義と悲観主義、知恵と愚かさ、そして善と悪など、一人一人の内面で両極端な傾向が激しくせめぎ合う部分が表面に出やすいのではないか。

つまり、問題の根源は、人間の善良な部分と邪悪な部分の終わりなき戦いにあるのかもしれない。この戦いは、人類の歴史と同じくらい古く、人類が紡いできた物語のほぼ全てで見られるものなのだ。

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