最新記事
2024米大統領選

デサンティス氏を支えてきた夫人、米大統領選のキーパーソンに浮上か 共和党関係者「彼女は本物だ」

2023年6月6日(火)12時05分
ロイター
米フロリダ州のデサンティス知事とケーシー夫人

2024年米大統領選の共和党候補指名争いに名乗りを上げた米フロリダ州のデサンティス知事は、アイオワ、ニューハンプシャー両州で開いた集会で選挙運動を本格始動した。ニューハンプシャー州マンチェスターで1日撮影(2023年 ロイター/Brian Snyder)

2024年米大統領選の共和党候補指名争いに名乗りを上げた米フロリダ州のデサンティス知事は、アイオワ、ニューハンプシャー両州で開いた集会で選挙運動を本格始動した。一部の共和党有権者には、ケーシー・デサンティス夫人(42)の存在とメッセージが、大きな政治的「資産」として印象付けられたようだ。

元テレビ司会者のケーシー夫人は、デサンティス氏やその取り巻きから同氏の最側近政治アドバイザーとして信頼を寄せられている。夫の知事としての実績を断固として擁護する一面のほか、3歳、5歳、6歳の3児の子育てにまつわる苦労話も豊富だ。

最初に投票が行われる州の共和党有権者の一部から、ケーシー夫人が乳がんを克服した話を聞いて勇気をもらえたとの声や、堅物でカリスマ性に欠けるとの批判もある夫のイメージを和らげられるのでは、との声が聞かれた。

ニューハンプシャー州のラコニア市で今月1日に開かれたデサンティス氏の選挙運動イベントに参加した元IT専門家、リサ・ティーマンさん(62)は「彼女はすごく強い女性。彼の得票につながると思う」と語った。

ケーシー夫人は、デサンティス氏の選挙運動序盤においてキーパーソンとして浮上してきた。その顕著な存在感は、トランプ前大統領のメラニア夫人と好対照だ。

トランプ氏は通常、メラニア氏を伴わずに選挙集会などを行う。娘のイバンカ氏も、大統領再選を目指すトランプ氏の運動に参加しないと述べている。

共和党政治コンサルタントのジーネット・ホフマン氏は、デサンティス夫妻は、民主党のバイデン大統領と違い、若さとエネルギーも「売り」だと指摘する。

「彼女(ケーシー夫人)は、選挙運動の資産に他ならない。共和党予備選にどれだけ影響するか定かではないが、陣営は彼女を有効な代理人として賢く利用している」とホフマン氏は話した。

ロイター/イプソスが5月9─15日に実施した調査では、共和党員の間でトランプ氏の支持率は49%なのに対し、2位のデサンティス氏は19%と大きく差を付けられている。

彼女は本物

ケーシー夫人は、過去にも夫の選挙戦で活躍した実績がある。再選を決めた昨年の知事選では、「デサンティス氏を支持する母親たち」の運動を率いた。

この運動は、大半の公立学校で性自認や性的指向に触れる授業を禁止したり、公立大学の多様性やインクルージョン(包摂)に関するプログラムへの出資を廃止するといった、教育や親の権利に関するデサンティス氏の主張を支持するのが主な目的だった。

デサンティス氏の大統領選挙戦の皮切りとなった5月30日のアイオワ州デモイン市の集会で、ケーシー夫人は「全国のお母さんたちを代表して闘う」と宣言した。

1日のラコニアでの集会では、夫がフロリダ州知事として、厳しい新型コロナウイルス対策を継続するよう求める圧力に抵抗したことを紹介し、その政策を擁護した。デサンティス氏本人のような激しい左派攻撃は避けながら、同氏の尽力は「米国の考え方を守る」のに必要だと訴えた。

「彼は委縮しない。最も抵抗の少ない道を選ぶことは決してない。常に正しい事のために立ち上がる」と訴え、参加者からは笑いと拍手の入り交じった反応があった。

集会後には夫よりも遅くまで会場に残り、有権者にあいさつしたり写真撮影に応じたりした。

共和党候補者らを支援するニューハンプシャー州婦人会のスザンヌ・ネルソン会長は「彼女は非常に暖かく、思いやりがあり、親切で、知的だった。彼(デサンティス氏)の話も気に入ったけれど、彼女なら(戦況を)変えられると思う」と語った。

非常に保守的な地域である同州ベルナップ郡の共和党副会長、ダグ・ランバート氏は、ケーシー氏が演説で子どもと家族の問題に重点を置いたことに感銘を受け、デサンティス氏を支持する気持ちが強固になったと説明。「これをファーストレディー物語の配役で終わらせてはいけない。彼女は本物だ」と力を込めた。

(Nathan Layne記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


SDGs
2100年には「寿司」がなくなる?...斎藤佑樹×佐座槙苗と学ぶ「サステナビリティ」 スポーツ界にも危機が迫る!?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

追加利下げに慎重、政府閉鎖で物価指標が欠如=米シカ

ビジネス

英中銀総裁「AIバブルの可能性」、株価調整リスクを

ビジネス

シカゴ連銀公表の米失業率、10月概算値は4.4% 

ワールド

米民主党ペロシ議員が政界引退へ 女性初の米下院議長
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの前に現れた「強力すぎるライバル」にSNS爆笑
  • 4
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 5
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 6
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 9
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 10
    ファン熱狂も「マジで削除して」と娘は赤面...マライ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中