最新記事
軍事

F16戦闘機でウクライナの「空の戦い」は大きく変わる...ソ連製からアメリカ製へ

A Major Upgrade

2023年5月31日(水)13時18分
セバスチャン・ロブリン(国家安全保障ライター)
F16戦闘機

デンマーク軍のF16戦闘機、通称「ファイティング・ファルコン」 handout-REUTERS

<1992年以前に製造された、ソ連製戦闘機で戦ってきたウクライナ。F16のパイロット訓練には時間がかかるが、これを機にF35ステルス戦闘機への切り替えも促進できる>

西側諸国がついに、ウクライナにアメリカ製のF16戦闘機を供給することに決めた。これまで主にソ連製の(つまり1992年以前に製造された)戦闘機で戦ってきたウクライナ空軍にとって、著しい戦力のアップグレードになる。

パイロットや整備士の訓練は数カ月かかるから、F16がウクライナの空に展開するのは、早くても2023年末になるだろう。また、ロシアには強力な地対空ミサイルがあるし、資源も豊富だから、ウクライナは依然として苦しい戦いを強いられるだろう。

それでも、F16を供給する意味がないわけではない。

ウクライナはまず、デンマークやオランダから、初代F16ともいえるF16A/Bの改良型を20機前後受け取るだろう。ただ、アメリカの計らいで、さらに能力を向上させたF16C/D型機が供給される可能性もある。

何より重要なのは、F16の改良型には最新の兵器を搭載できることだ。最新のレーダーであるAESA(アクティブ電子走査アレイ式)AN/APG-83レーダー(別名セイバー)を装備していないのが痛い(これがあればロシアの戦闘機や巡航ミサイルに対して優位に立てる)が、これもアメリカが特別に手配する可能性がないわけではない。

ウクライナ人パイロットの訓練には時間がかかるかもしれないが、初期の報道では、それほど大きな問題ではなさそうだ。

全くの新人パイロットには、イギリスやフランスでジェット戦闘機の基礎訓練を行った後、ポーランドやベルギーでF16に特化した訓練をするが、ベテランパイロットはもっと短期間で訓練を終えられるだろう。

整備士の訓練には、もっと時間がかかるから早く始める必要がある。そのための資金計画や、実際の整備をポーランドやドイツなどの外国でやるか、ウクライナでやるか(その場合はテレビ会議ツールなどで外国から助言を受けつつ行われるだろう)といった判断も必要だ。

運用環境の整備も必須

これまで運用してきたミグ29戦闘機は、滑走路のコンディションが少々悪くても離着陸できるようにエンジンが頑丈に造られているが、F16は胴体下に大きなエアインテーク(吸気口)が配置されており、異物を吸い込みやすい。

まちづくり
川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に──「世界に類を見ない」アリーナシティプロジェクトの魅力
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

カナダ中銀、金利据え置き 原油高受けたインフレ圧力

ワールド

トランプ氏訪中、中国が延期で合意 早期に再調整=ホ

ワールド

NATO、ホルムズ海峡再開を協議 ルッテ事務総長「

ワールド

IAEA、イラン中部の新ウラン濃縮施設の状況把握せ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポリ」が中東へ
  • 4
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 8
    観客が撮影...ティモシー・シャラメが「アカデミー賞…
  • 9
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったの…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 10
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中