最新記事
トルコ

それでもエルドアンを愛し続ける──国父が掲げた「ナショナリズム」は今も健在

Erdogan as “One of Us”

2023年5月29日(月)13時40分
ステファニー・グリンスキ(ジャーナリスト)

「世論調査は間違いだ」

ヤウズの息子たちは困難な時期に生まれた。トルコでは2011~17年、クルド労働者党(PKK)や過激派組織「イスラム国」(IS)によるテロ攻撃が続発。「安全保障が政府の主要課題の1つだ」と、ヤウズは言う。

離婚経験者で理容師の彼は黒のスニーカーに灰色のジーンズ、黒のレザージャケット姿で、ひげはきれいに整えている。今どき、どこにでもいる男性の格好だ。片手に祈禱用ビーズを持っているのは、単なる習慣だという。

一緒にいた友人は同じサッカーチームを応援しているが、支持する政党は違う。それも問題ではない。世論調査は間違っていたという点で、2人の意見は一致している。

「最も大きな声が、トルコの一般市民の声とは限らない」。ヤウズはそう語るが、故国が分断していることは認める。

「私たちの大統領を独裁的指導者と見なし、変化を求める人々がいる。私自身は、実行力があり、勤勉で力強い大統領だと考えている。彼は私たちの仲間だ。この国を前進させようとしている」

もっとも、ヤウズが営む理髪店は停滞気味だ。新型コロナのパンデミックと生活費の危機の二重苦で、苦境が続く。

ウクライナでの戦争も、何の得にもなっていない。問題があるのは欧州も同じだと、ヤウズは主張する。彼の友人は黙ったまま、首を横に振る。それから2人は、新しく入れたお茶を分け合った。

From Foreign Policy Magazine

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:イラン戦争によるガソリン価格高騰、EV販

ビジネス

米国株式市場=続落、27年まで利下げなしの見方広が

ビジネス

NY外為市場=円とユーロが対ドルで上昇、主要中銀が

ワールド

高市首相、ホルムズへの艦船派遣巡り日本の立場説明 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 ──「成功」が招く自国防衛の弱体化
  • 4
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 5
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 6
    原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右する…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    トランプ暴走の余波で加熱するW杯「ボイコット論」..…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 9
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 10
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったの…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中