最新記事
スキャンダル

プーチン政権の「顔」の息子、徴兵忌避の次は従軍記録のでっち上げ疑惑。プリゴジンも口裏合わせに協力?

Putin Ally's Son Racked Up Tesla Fines While 'Fighting' in Ukraine—Reports

2023年4月25日(火)19時12分
イザベル・バン・ブリューゲン

クレムリンの顔、ペスコフ報道官と息子にとんだ疑惑が(2022年12月22日、モスクワ) Sputnik/Valeriy Sharifulin/REUTERS

<テレビでお馴染み、ロシアのペスコフ報道官の息子は、徴兵を忌避したうえに、後から従軍記録をでっち上げた疑いをかけられている。戦場にいるはずのころ、モスクワで高級車を乗り回して交通違反切符を切られていたのだ>

ロシアの大統領府報道官ドミトリー・ペスコフの33歳になる長男ニコライ・ペスコフは4月21日のインタビューでウクライナで従軍したと語ったが、その後地元メディアは、戦場に行っていたはずの時期に、ニコライの所有するテスラ車がモスクワで交通違反の罰金を科されていたと報じた。ニコライは昨年9月に部分的動員が発令されたとき、徴兵を忌避したとして父子ともに厳しい批判を受けていた。

ロシアの通信社「SOTA」や、「VChK-OGPU」などの複数のテレグラム・チャンネルが報じたところによれば、ニコライが2023年3月末まで所有していたテスラ「モデルX」は、2022年7月24日と11月6日の2回、モスクワで罰金を科されていた。これは、ニコライがロシアの民間軍事会社「ワグネル」の一員としてウクライナで従軍していた、と話した時期にあたる。ロシアの特権階級とそのボンボンが、徴兵忌避の批判を逃れるために従軍話をでっち上げているのではないか、と火に油を注ぐ結果になっている。

【動画】クレムリンのリッチで美しい娘たち

本誌は、VChK-OGPUの主張を独自に確認しておらず、ロシア外務省にメールでコメントを求めている。

ワグネルは、ウクライナ東部の激戦地バフムトでの戦闘に深く関わっている。ワグネルを創設したエフゲニー・プリゴジンは4月21日のインタビューで、ペスコフの息子はウクライナでの戦闘に参加したと語った。「クレムリンの報道官(ペスコフ)」から、息子を「ただの砲兵」としてワグネルに「入れて」ほしいと頼まれたという。「それを知る人はごく少数だ」とプリゴジンは述べた。プリゴジンは、ウラジーミル・プーチン大統領の側近でもある。

偽名で従軍?

ペスコフは4月24日、ニコライはウクライナの戦争に参加していた、と言った。「息子がそう決断した。息子も一人の成人だ」

プリゴジンは、ニコライはペスコフの息子であることを隠すため「偽名で」ワグネルに入隊することを認めたという。だからニコライの従軍記録はワグネルにもない。プリゴジンによれば、従軍期間は「半年足らず」だったという。

複数のテレグラム・チャンネルは、ニコライがウクライナでの戦闘に参加していたという主張に疑問を呈している。ニコライがワグネルの一員としてウクライナにいたとされる時期に、ニコライのテスラ車がモスクワで罰金を科されていたからだ。

VChK-OGPUのテレグラム・チャンネルは、こう述べている。「我々が集めた情報によると、ドミトリー・ペスコフの息子がワグネルの一員として戦ったとする主張は疑わしい。ちょっと写真撮影に出かけただけではないのか」

座談会
「アフリカでビジネスをする」の理想と現実...国際協力銀行(JBIC)若手職員が語る体験談
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン「核兵器を追求せず」、大統領が国連演説 制裁

ワールド

イスラエル軍、ガザ市中心部へ進撃 医療施設への影響

ビジネス

次期FRB議長に偏見ない人材を、一部候補者の強さに

ビジネス

米財務長官、航空機エンジンや化学品を対中協議の「て
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
2025年9月30日号(9/24発売)

トヨタ、楽天、総合商社、虎屋......名門経営大学院が日本企業を重視する理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...「文学界の異変」が起きた本当の理由
  • 2
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 3
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市場、売上を伸ばす老舗ブランドの戦略は?
  • 4
    【クイズ】ハーバード大学ではない...アメリカの「大…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 7
    映画界への恩返しに生きた、ロバート・レッドフォード…
  • 8
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 9
    村上春樹は「どの作品」から読むのが正解? 最初の1…
  • 10
    福音派の終末予言はまた空振った?――キリストが迎え…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 6
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 7
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 8
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 9
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 10
    「ミイラはエジプト」はもう古い?...「世界最古のミ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中