最新記事
世界のニュース50

「愚かで有害」との反発も...「中国依存」深まるロシアで、中国語が大ブームに

2023年4月26日(水)17時03分
高木由美子(本誌記者)
モスクワの風景

Savvapanf Photo/SHUTTERSTOCK

<中国語ができる人材のニーズは高まっているが、一方で教育現場での「中国語の押し付け」に反発する動きも>

欧米からの制裁で孤立を深め、頼みの綱とばかりに中国への依存を強めるロシアで、中国語学習が大ブームになっている。

ロシアの大手個人間売買サイト「アビト」の昨年8月のリポートによると、首都モスクワで中国語レッスンを希望する人は過去1年で138%増加。極東のウラジオストクでは350%増に上る。中国語クラスを強化して講師を増員する語学学校や、中国語を必修化する高校、大学も増えている。

中国語を学ぶロシア人が増加しているのは、中国語ができる労働者に需要があるから。ロシアの経済や技術はもはや西側諸国を当てにできず、製品からスペアパーツに至るまで、欧米製から中国製への転換が相次ぐ。

ロシアのオンライン求人サイトを運営するヘッドハンター・グループの調査によれば、中国語話者の求人は2022年に前年比で70%増加。販売や製造、物流分野などで中国語話者の需要が高く、エネルギー分野では特に渇望されているという。

一方で、中国語の押し付けに反発する動きも。名門のモスクワ物理工科大学では、英語に加えて中国語を必修化し、フランス語やドイツ語などその他の外国語は単位に認定しないとするカリキュラム変更が行われ、学生らが猛抗議。「愚かで有害」な改革だと撤廃を求める請願書には既に1000人以上が署名している。


ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


ビジネス
栄養価の高い「どじょう」を休耕田で養殖し、来たるべき日本の食糧危機に立ち向かう
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日本製鉄、今期純利益は42%減の見通し 市場予想比

ビジネス

リクルートHD、今期10%増益予想 米国など求人需

ビジネス

午後3時のドルは145円半ばへ小幅反落、楽観続かず

ビジネス

再送中国SMIC、第1四半期は利益2.6倍 関税影
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 8
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 9
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 10
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中