最新記事
注目ニュースを動画で解説

「永遠の兄弟」中露の力関係は完全に逆転... 中国が「大兄」でロシアは「弟」【注目ニュースを動画で解説】

2023年4月19日(水)18時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
中国が「大兄」でロシアは「弟」

力関係は一目瞭然 ニューズウィーク日本版-YouTube

<戦争で疲弊したロシアがかつての弟分に支援を仰ぐ。最新の中露関係を解説した動画から一部を抜粋して紹介する>

ウクライナに仕掛けた戦争で疲弊するロシアは経済面だけでなく、技術面と外交面でもこれまで以上に中国に頼らざるを得ない状況にある。社会主義時代の力関係は完全に逆転したが、孤立したかつての兄貴分を中国はなぜ支え続けるのか。その狙いを読み解く。

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「「永遠の兄弟」中露の力関係は逆転!中国が「大兄」でロシアは「弟」【アニメで解説】」の内容を一部抜粋して紹介する。

◇ ◇ ◇

1949年の12月、建国まもない中国の毛沢東主席が初めてモスクワを訪問した。ソ連の国営ラジオ局は「ロシア人と中国人は永遠に兄弟」という詞で始まる『モスクワ・北京』という曲を流して歓迎したが、「弟分」とされたことに中国人は怒りを覚えた。

75年近く経った今、ロシアはあらゆる面において中国にすがる側となっている。

nwyt0419_1.jpg

ただし、ロシアは依然として核兵器大国であり、化石燃料と天然資源、食糧の主要な輸出国だ。中国の属国と呼ぶことはまだできない。アメリカ主導の世界秩序に対抗する中国にとって、ロシアは今でも戦略的に必要な存在と言える。

nwyt0419_2.jpg

3月にモスクワで行われた首脳会談での最大の議題はウクライナだった。この会談で習近平国家主席は12項目の和平提案を用意したが、戦闘を終わりに向かわせるような具体策はなかった。

今回の中国の狙いは、紛争解決能力を世界に示すこと。習の提案をプーチン大統領が支持することでそれをアピールできるという訳だ。

nwyt0419_3.jpg

そもそもロシアはもちろん、ウクライナ側も和平に向けて動く気配はない。両軍とも春から夏にかけて一段と軍事構成を強める構えだ。

nwyt0419_4.jpg

現実的にロシアを支援していながら、口先では穏健で中立的なメッセージを世界に向けて発する中国。ロシアが負けて中国に頼ろうとしない政権が誕生するのは厄介だが、残忍な侵略に加担して共犯者扱いされるのも避けたい──中国の振る舞いの裏には、こうした事情がある。

nwyt0419_5.jpg

首脳会談で中国はさまざまな合意を取り付けて優位性を確認し、ロシアは中国の提供するライフラインが確固たるものであることを確認した。

nwyt0419_6.jpg

中国は3月10日にサウジアラビアとイランの国交正常化を仲介し、外交上のシンボリックな勝利を収めた。アメリカに対抗し、超大国として世界を仕切る準備を着々と進めている。

国際政治の舞台を堂々と歩む中国に、疲弊した弟分は付き従うのみだ。

nwyt0419_7.jpg

■詳しくは動画をご覧ください。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる

ビジネス

アルコア、第2四半期の受注は好調 関税の影響まだ見

ワールド

英シュローダー、第1四半期は98億ドル流出 中国合

ビジネス

見通し実現なら利上げ、米関税次第でシナリオは変化=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中